ハスクバーナ

ハスクバーナ：歴史と革新を刻むグローバル企業

ハスクバーナABは、スウェーデンに本社を置く、世界60カ国以上で製品を販売するグローバル企業です。チェーンソーや芝刈り機といった農林・造園機器、建設機械が主力製品ですが、その歴史は意外にも、マスケット銃の製造にまで遡ります。

銃器メーカーからの出発

1689年、スウェーデン南部ハスクバーナ川沿いに設立されたハスクバーナ社の起源は、スウェーデン王室へのマスケット銃供給を担う工場でした。この歴史は、今日でも銃口と照準をデザイン化したトレードマークに反映されています。社名である「ハスクバーナ」は、スウェーデン語で「家の風車」を意味し、設立地を反映した地名に由来します。

多角化への道

当初は銃器製造に特化していましたが、19世紀に入ると事業を多角化。1872年にはミシンの製造を開始、1896年には自転車に進出し、1903年にはオートバイ製造にも着手しました。1919年には自社製エンジンを開発、1920年にはエンジン工場を設立するなど、技術開発にも力を入れていました。

近代的な農林・造園機械メーカーへの転換

ハスクバーナ社の転換期は、1947年のエンジン搭載芝刈り機の製造開始と、1959年のチェーンソー製造開始でしょう。特にチェーンソーは、同社の代表的な製品となり、世界的な成功を収めました。この頃に電子レンジの発表も行っていますが、これは主力製品とはなりませんでした。

多様な展開と事業再編

1977年にはエレクトロラックスグループに加入、その後2006年に独立。この間、ミシン、洗濯機などの製造も行っていました。オートバイ部門は1986年にカジバに売却されましたが、2003年にはMVアグスタから株式を一部買い戻し、オートバイ事業への再投資も試みました。しかし、2007年にはBMWに、その後2013年にはKTM傘下のピエラ・インダストリーAGに売却され、現在ではオートバイ事業からは撤退しています。ミシン製造部門も、1990年にハスクバーナ・ソーイング・マシーンズ（現在のVSM Group AB）に移管されました。

日本におけるハスクバーナ

日本では、100％子会社であるハスクバーナ・ゼノアが農林・造園機器、建設機械の販売を行っています。これは2006年に小松ゼノア（当時、小松製作所傘下）の農林機器事業を買収した結果です。

ハスクバーナ社の現在

現在、ハスクバーナ社は、創業から300年以上を経た老舗企業として、農林・造園機器、建設機械分野で世界をリードするメーカーです。長年にわたる技術革新と事業再編を経て、世界中の人々に高品質な製品を提供し続けています。その歴史は、単なる企業の歴史を超えて、技術革新、事業変革の歴史と言えるでしょう。今後も、持続可能な社会の実現に貢献する製品開発に注力していくことが期待されます。

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