ハナイカダ

ハナイカダ（花筏）

ハナイカダ（学名: Helwingia japonica）は、モチノキ目ハナイカダ科ハナイカダ属に分類される落[[葉性]]の低木です。別名としてヨメノナミダとも呼ばれ、その特徴的な花の咲き方から「花筏」という和名がつけられました。

名称の由来

和名であるハナイカダは、葉の中央に小さな花をつける様子が、葉を筏に、花を筏に乗る船頭に見立てたことに由来します。他にも、イカダソウ、イボナ、ツキデノキ、ツギネ、ツクデンハ、ママコナ、ママッコ、ママコモチ、ムコナなど多くの別名があります。これらの別名からも、古くから人々に親しまれてきた植物であることが伺えます。

学名の属名 Helwingia は、植物誌を著したドイツの医師ヘルウィングにちなんでおり、種小名 japonica は「日本の」という意味です。

分布と生育環境

ハナイカダは、北海道南部から本州、四国、九州にかけて分布しています。山沿いの平地から山地にかけてのやや湿った場所を好み、特に半日陰の森林内や河畔などに自生します。湿った樹林内や岩礫地では群生していることも多く見られます。庭木としても利用されることがあります。

形態

ハナイカダは落[[葉性]]の広葉低木で、高さは1〜3メートル程度です。幹はあまり太くならず、叢生する傾向があります。茎は緑色から暗紅紫色で無毛ですが、太くなると皮目が縦に裂けてゴツゴツとした質感になります。早春には、茎頂付近から放射状に新しい枝を出し、葉を開きます。枝は稜があり、一年枝はしなやかです。

葉は柄があり、茎頂に集まって互生します。葉身は広楕円形から楕円形または長楕円形で、長さは6〜12センチメートルほど。葉縁には細かい鋸歯があり、先端が少し上向きに突き出しています。

花期は春から初夏（5〜6月ごろ）で、雌雄異株です。葉の中央に、雌花は1〜3個、雄花は3〜8個の淡黄色または緑色の小さな花を咲かせます。花は子房下位で、花弁は3〜4枚です。雌株には花後に豆のような液果が実り、夏から秋にかけて黒く熟します。一つの葉に1つの果実をつけるのが普通ですが、時には2〜3個の実をつけることもあります。果実には2〜4個の種子が含まれています。この果実は甘味があり食べられます。

通常、花は枝の先端に咲くものですが、ハナイカダは花の柄が葉の中央の主脈と合着しているため、葉の上に花が咲いているように見えます。これは進化の過程で生じた特殊な形態です。

冬芽は円錐形や卵形で、枝と同色。芽鱗は2〜4枚です。枝先の頂芽は側芽よりも大きく、側芽は小さく枝に互生します。葉痕は半円形で、維管束痕が1個あります。

利用

ハナイカダは、その独特な姿から庭木として植えられます。また、若芽は山菜として食用にされます。採取時期は地域によって異なり、関西以西では4〜5月頃、中部以北では5〜6月頃が適期です。葉が開き始めた若芽を根元から摘み取ります。茹でて水にさらし、おひたし、和え物、煮びたし、天ぷら、油炒め、汁の実、佃煮など様々な料理で楽しめます。細かく刻んでご飯に混ぜ込むのもおすすめです。葉は柔らかく、アクやクセが少ないため食べやすいのが特徴です。花が付いた葉も同様に利用できます。

果実は夏から秋（9〜11月）に採取して生食や果実酒にできます。しかし、美味しくないという評価もあるため、注意が必要です。

分類

ハナイカダには、変種として南西諸島にリュウキュウハナイカダ、台湾にタイワンハナイカダがあります。また、同属には中国南部やヒマラヤに分布する H. chinensis や H. himalaica があります。

脚注

注釈

特になし

出典

(省略)

参考文献

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篠原準八『食べごろ 摘み草図鑑：採取時期・採取部位・調理方法がわかる』講談社、2008年10月8日、95頁。ISBN 978-4-06-214355-4。
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高橋秀男 監修、田中つとむ・松原渓 著『日本の山菜』学習研究社〈フィールドベスト図鑑13〉、2003年4月1日、163頁。ISBN 4-05-401881-5。
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戸門秀雄『山菜・木の実 おいしい50選』恒文社、2007年4月16日、38 - 39頁。ISBN 978-4-7704-1125-9。
吉村衞『おいしく食べる山野草』主婦と生活社、2007年4月23日、79頁。ISBN 978-4-391-13415-5。
北村四郎・村田源『原色日本植物図鑑・木本編I』保育社〈保育者の原色図鑑 49〉、1971年11月。
牧野富太郎 著、前川文夫・原寛・津山尚 編『牧野新日本植物図鑑』（2版）北隆館、1961年6月。

関連項目

ナギイカダ：葉の上に花が咲くように見える植物。
* ミツバウツギ

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