ハビーブ・ブルギーバ

ハビーブ・ブルギーバ：チュニジア近代化の父

ハビーブ・ベン・アリー・ブルギーバ（1903年8月3日 - 2000年4月6日）は、チュニジアの政治家であり、同国の初代大統領を務めました。彼は、チュニジアの近代化と西欧化を推進したことで知られ、トルコのケマル・アタテュルクと比較されることもあります。ブルギーバは、離婚の合法化、一夫多妻制の禁止、女性の結婚可能年齢の引き上げなど、女性の権利向上に大きく貢献しました。

生い立ちと政治活動

ブルギーバは、モナスティルの中産階級の家庭に生まれました。19歳の時にナショナリズム政党である憲政党に入党し、政治の世界に足を踏み入れました。1924年にはフランスに留学し、法律と政治を学びました。ソルボンヌ大学在学中には、パリ生まれのマティルド・ロレンと出会い結婚。マティルドはイスラム教に改宗し、モーフィダと名乗りました。1927年にチュニジアに帰国後、国内の社会経済問題の研究に没頭し、1932年には新聞『アクション・チュニジエンヌ』を創刊しました。1934年、新憲政党の結成と同時に書記長に就任しましたが、フランス当局によって逮捕され、砂漠のキャンプに抑留されました。

独立運動と初代大統領就任

1943年、ブルギーバはカイロに亡命し、北アフリカのフランス植民地解放を目指す国際運動を推進しました。1949年に一時帰国を許されますが、1952年に再び逮捕され、国外で独立運動を指揮しました。1955年、フランスとの交渉が進展し帰国。1956年3月20日、チュニジアは立憲王国として独立を果たし、ブルギーバは初代首相に就任しました。

1957年、ブルギーバは封建的な国王を廃止し、自ら初代大統領に就任しました。1960年には、ビゼルトにあるフランス軍基地の奪還を試み、対仏関係を悪化させました。このビゼルト危機の最中の1961年、モーフィダ夫人と離婚。1962年にはワッシラ・ベン・アンマルと再婚しましたが、1986年に再び離婚しています。

社会主義政策と国際的役割

1964年以降、ブルギーバはチュニジア独自の社会主義を掲げ、新憲政党を社会主義憲政党と改称しました。一時的にエジプトのナセル大統領に接近しましたが、1965年の対イスラエル宥和発言によって関係は悪化しました。彼は、セネガルのレオポール・セダール・サンゴール、ニジェールのアマニ・ディオリなどと共にフランコフォニー国際機関を設立しました。

1980年代に入ると、アラブ連盟の本部がチュニスに置かれ、アラブ連盟とイスラム諸国会議機構の事務局長にチュニジア人が選出されました。チュニジアはエジプトに代わってアラブ・イスラム諸国の盟主となり、1982年にはレバノン内戦から脱出したヤーセル・アラファトとパレスチナ解放機構をチュニスに受け入れ、パレスチナ解放運動を支援しました。

クーデターと晩年

1987年、ブルギーバは大統領の座を追われました。チュニジアの近代化に大きく貢献したハビーブ・ブルギーバは、2000年4月6日にその生涯を閉じました。

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