ハマギギ科

ハマギギ科 (Ariidae)

ハマギギ科はナマズ目に属する一つの科であり、ゴンズイ科と共に、数少ない海水魚を含む科として知られています。この科には約143の種があり、その多くは海域に生息していますが、汽水域や淡水域にも適応した種が存在します。これらの魚は主に世界中の温帯から熱帯の水域に分布しています。

分類

ハマギギ科の分類には未解明な部分が多く、系統関係も明確ではありません。かつてこの科に属していたGogo属とAncharius属は、現在は独自のAnchariidae科に分けられています。ハマギギ科は、Galeichthys属のみを含むGaleichthyinae[亜科]]と、残りのすべての属を含むハマギギ亜科]の二つの[[亜科に分かれています。さらにNelson（2006）の見解においては、ハマギギ科はパンガシウス科やギギ科と共にギギ上科（Bagroidea）に位置付けられている一方で、Anchariidae科と合わせた上でArioidea上科に分類する提案も存在しています。

分布

この科に属する魚は、インド洋、太平洋、大西洋など、世界の水域に分布していますが、特に熱帯や温帯の環境でよく見ることができます。エスチュアリーやラグーンなどの汽水域には多くの種が生息している一方で、完全に海水域あるいは淡水域に特化した種も存在しています。日本においては、ハマギギ（Arius maculatus）、オオサカハマギギ（Netuma thalassina）、トウカイハマギギ（Plicofollis nella）の3種が確認されていますが、いずれも稀少な存在です。

形態

ハマギギ科の魚は、尾鰭が深く二叉しているのが特徴です。一般的にひげは3対あり、頭部や背鰭の近くには骨板が存在します。さらに、いくつかの種では背鰭や胸鰭に有毒な棘を持つこともあります。また、脂鰭を有する点も特徴的です。

生態

ハマギギ科の魚は他のナマズ目の魚類とは異なった生態を持っています。その中でも特に注目すべきは、多くの種がマウスブルーダーである点です。オスは数十個の卵を口の中で保護し、孵化するまでの約2か月間、卵を育てる行動が観察されています。これにより、幼魚が自由に泳ぐことができるようになるまでの期間を安全に確保することができます。

人間との関係

ハマギギ科の中で特に知られているのは、Ariopsis felis（英名: Hardhead catfish）です。この魚は、マサチューセッツからメキシコにかけての大西洋沿岸に広く分布し、体重は最大で5.5kgに達することがあります。食用としての価値もありますが、釣りの対象としては好みが分かれる傾向があります。また、小型のハマギギ科の魚たちは、水族館や家庭の観賞魚として人気があります。1972年にはシカゴのシェッド水族館において、Ariopsis felisの飼育下繁殖に成功し、その後も何度か繁殖に成功しています。特に、Sciades seemanni（英名: Colombian shark catfish）は観賞魚として人気がありますが、Arius berneyiやArius graeffeiなどの誤った学名で流通していることもあり、混乱をもたらすことがあります。

このように、ハマギギ科はその多様性と独特な生態により、海洋生態系において重要な役割を果たしており、また人間との関係においても多くの興味を引く存在です。

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