シェッド水族館

シェッド水族館：シカゴが誇る世界最大級の屋内水族館

シェッド水族館（John G. Shedd Aquarium）は、アメリカ合衆国イリノイ州シカゴにある、世界最大級の屋内型水族館です。ミシガン湖畔のミュージアム・キャンパスに位置し、隣接するアドラープラネタリウムやフィールド自然史博物館と共に、シカゴを代表する文化施設として知られています。

展示内容

館内では、25,000匹もの魚類をはじめ、海生哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、昆虫など、1500種もの多様な生物が展示されています。水量は約1900万リットルに及び、屋内型水族館としては世界最大級の規模を誇ります。また、海水魚を常設展示した最初期の内陸型水族館としてもその名を刻んでいます。

常設展示

アマゾン・ライジング (Amazon Rising)：アマゾン川と熱帯雨林を再現した展示エリア。水に覆われたジャングルを歩きながら、250種の生物を観察できます。
カリビアン・リーフ (Caribbean Reef)：カリブ海のサンゴ礁を再現した円形水槽。ダイバーが生物と触れ合いながら解説する様子は、来館者に人気です。
ウォーターズ・オブ・ザ・ワールド (Waters of the World)：世界各地の海洋、湖、河川の生態系を再現した展示。
オーシャナリウム (Oceanarium)：カマイルカやシロイルカなどの海生哺乳類を展示するエリア。1100万リットルのメイン水槽「ホエール・ハーバー」は、屋内型施設としては世界最大規模を誇ります。ラッコの飼育でも有名で、1989年のエクソンバルディーズ号原油流出事故で保護されたラッコたちもここで暮らしています。
* ワイルド・リーフ (Wild Reef)：フィリピンのアポ島保護水域をモデルにしたサンゴ礁の展示。生きたサンゴや多種多様な魚、エイ、サメなどを観察できます。特に、高さ3.7メートルの曲面ガラス越しに見るサメの展示は圧巻です。

歴史

シェッド水族館は、実業家ジョン・G・シェッド氏からの300万ドルの寄付を基に建設されました。1927年に着工し、1930年に開館しました。開館当初は、専用列車でフロリダから海水を運搬していたという逸話も残っています。1933年のシカゴ万国博覧会開催時には、多くの来場者で賑わいました。

1971年には、カリブ海のサンゴ礁を再現した「カリビアン・リーフ」がオープン。同年には初の研究用船舶も購入し、実地調査や標本採集も行われるようになりました。1991年には「オーシャナリウム」が、2003年には最新の常設展示「ワイルド・リーフ」がオープンしました。2008年には、水槽の漏水予防と運営改善のため一時閉館しましたが、2009年に再開しました。

建築

シェッド水族館は、その建築美でも知られています。ギリシャ建築様式を取り入れた八角形の建物は、ドーム型の屋根とドーリア式の柱が特徴的です。館内外には、カメの甲羅やイルカ、タコなど、水のモチーフが随所にあしらわれています。また、マリー・チェイス・ペリー・ストラットンのデザインによるポワビック・ポッタリーのタイルが、館内の装飾にふんだんに使われています。

「オーシャナリウム」は、太平洋岸北西部のスタイルを取り入れつつ、既存の建物との調和を保っています。メイン水槽「ホエール・ハーバー」の背後にあるガラス壁からは、ミシガン湖を一望できます。

その他の情報

シェッド水族館は、年間約200万人の来場者を集める人気の観光スポットです。2005年と2007年には、アメリカの全ての水族館の中で最多の入場者数を記録しました。また、動物園水族館協会(AZA)の展示賞を、「シーホース・シンフォニー」、「アマゾン・ライジング」、「ワイルド・リーフ」の3つの展示で受賞しています。

シェッド水族館は、単なる水族館ではなく、海洋生物の保護や研究にも力を注いでいます。その美しい建築と多様な展示は、訪れる人々を魅了し続けています。

外部リンク

シェッド水族館 公式ウェブサイト(英語)

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