ハマミズナ科

ハマミズナ科（Aizoaceae）

ハマミズナ科は、約126属および1,100種を含む被子植物の科です。一般的にこの科は、ツルナ科として呼ばれることもありますが、狭義にはツルナ属（Tetragonia）やTribulocarpus属を含む際にハマミズナ科とされます。現在では、ツルナもハマミズナ科に含むのが一般的です。

また、マツバギク科やメセン科といった通称も用いられることがあります。以前は学名がTetragoniaceaeやFicoideaeとされることが一般的であり、古い図鑑では「ザクロソウ科」としてまとめられた記録も見受けられます。そのため、学名や呼称において混乱が見られることがあります。

この科の植物は、英語では「アイスプラント（iceplants）」として知られており、特に耐寒マツバギク属（Delosperma）やマツバギク属（Lampranthus）が含まれます。日本では、アイスプラントという名称が使用されることが多く、特にコモンアイスプラント（Mesembryanthemum crystallinum）が代表的です。

形態と生態

ハマミズナ科の植物のほとんどは草本ですが、種によっては茎が木質化するものも存在します。葉は一般に多肉質で、時には鋸歯を持つものもありますが、形状は非常に多様です。扁平な葉や、マツバギクのように細長い葉、さらにはリトープスのように非常に退化した葉が見られ、茎と一体化し石ころのように見えるものもあります。

花は多くの種で両性であり、放射相称の特徴があります。通常、葉腋からは1個またはいくつかの花が出現し、花弁は無いか、あるいは多数の雄蕊由来のものが見られます。がく片は通常5枚前後で、下端が融合しています。果実は蒴果で、内部に種子を1個または複数含みます。

分布

この植物科の多くの種は南アフリカに自生しており、一部はオーストラリアや太平洋の沿岸に生育しています。また、砂漠や海岸といった厳しい環境に適応して進化しています。カルポブローツス・エドゥリスなどの一部は世界各地に広まり、帰化植物として生育していることもあります。

日本本土に元来自生している種はツルナだけで、他にも琉球列島にはミルスベリヒユ（ハマミズナ）が見られます。また、マツバギクやハナヅルソウ（ハナツルクサ）などの種も日本で野生化している種の一つです。

人間との関わり

この科の植物は多肉植物であり、特にマツバギクやリビングストンデージーなどはその美しい花や独特な形状のために広く栽培されています。これらの植物は、かつてメセンブリアンテマム属に分類されることが多く、「メセン類」とも呼ばれていました。

マツバギクは春から秋にかけて成長し、開花しますが、リトープス属は秋から春に成長し、夏には休眠します。リトープスの栽培では、秋に挿し芽や株分け、植え替えを行い、初夏には断水して休眠させることが重要です。成長期には充分な水分を与え、日光を最大限に浴びせることが成功のポイントです。

一部の種、特にCarpobrotus属やDelosperma属の植物は耐火性があり、防火用に植えられることもあります。

ツルナ（英: New Zealand spinach）は太平洋沿岸に広がり、食用として利用されており、日本でも同様です。また、ミルスベリヒユも南アメリカ原産で、沖縄などで野生化しています。最近では、新しい野菜としてアイスプラントが注目を集め、塩味のある風味が特徴で、食材として利用されています。

下位分類

この科には多くの属が存在し、さまざまな特徴を持つ植物が分類されています。例えば、Aptenia（ハナヅルソウ）、Lampranthus（マツバギク）、Lithops（リトープス）などが含まれています。これらの植物は、多様な生態的役割を持っており、独自の価値を持っています。

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