ハラン (植物)

ハラン (Aspidistra elatior)

概要

ハランは、スズラン亜科に属する常緑多年草で、特にその大きな葉が特徴的な植物です。古くから親しまれ、その美しい姿から日本やその他の地域で多く栽培されています。学名は Aspidistra elatior で、1834年に命名されました。一般的に「葉蘭」とも呼ばれますが、古名は「馬蘭」となります。

特徴

ハランの茎は地下に這い、葉は楕円形で長さが50 cm以上に達します。葉の色は深緑で、薄くても硬さと艶があります。密集した群落を形成し、その影響で地面から大きな葉が立ち並ぶ独特の景観を作り出します。日陰でも手間がかからず成長するため、初心者でも育てやすい植物です。

春先の3月から4月にかけて、地下茎から紫色の多肉質の花を咲かせることがあります。花は地面すれすれの位置にあり、花被片は通常8枚です。果実は地面に直接乗るような形をとり、次の夏に種子を散布します。

分布と生育地

ハランは中国南部が原産とされていますが、実際には野生のハランは確認されていません。鹿児島大学の研究によって、九州南部の宇治群島や黒島、諏訪之瀬島がその自然生息地であるという報告がされています。

花粉媒介

ハランの花は地面近くに咲くため、授粉を行う媒介者について様々な仮説があります。カタツムリやナメクジが花粉を運ぶ説もありましたが、1995年に日本の研究者がヨコエビ類が媒介者であることを示しました。その後、他の研究者が主要な送粉者としてキノコバエ類が関与しているとの説を提唱しました。

園芸品種

ハランには多様な園芸品種があります。以下のような代表的な品種があります：

• - 斑入りハラン: 縦の斑が入り、手入れ次第で元の形に戻ることがあります。
• - 星斑ハラン: 全体に黄色い点々が入り、安定性があります。
• - 天の川: 矮性で、星斑と縞斑の両方を持っています。
• - 旭: 新芽部分が白く、葉先に斑が残る特性を持っています。
• - 一品蘭: 緑葉に白い線が入る品種です。なお、一般的に「天の川」と呼ばれるものの大半は、実際にはルリダハランとされています。

近縁種

国内にはいくつかの近縁種もあり、特に ルリダハラン や ムシャハラン が知られています。ルリダハランは7月頃に花を咲かせ、造園界で多く使われています。ムシャハランは台湾原産で、切り花用に流通することが多い品種です。

利用

ハランは庭園の下草として使われ、特に斑入りの品種は人気があります。また、和食の盛り付けに使われるほか、高級料亭や寿司店では、料理の飾り付けにハランの葉が利用されています。最近では、青いプラスチック製の装飾品が「人造ハラン」として流通していますが、これは本物のハランを模したものです。

語源

ハランの名前は中国語の「馬蘭」に由来し、最初はその葉が大きく蘭に似ていることから付けられました。江戸時代には「ハラン」と呼ばれるようになり、葉蘭の当て字が追加されました。

ハラン属について

ハラン属（学名: Aspidistra）は212種が発見されており、その59種は中国、54種は中国の固有種です。

この植物はその美しさや手入れのしやすさから、多くの人々に愛されています。

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