宇治群島について
宇治群島は、
鹿児島県枕崎市の西方約80kmの海上に位置する群島で、全てが
無人島です。行政上は
南さつま市笠沙町片浦に属しています。この群島は、
上三島や
薩南諸島には含まれず、南西諸島にも属さない、独立した位置にあります。
地理
宇治群島の主な島は、
宇治島と宇治向島です。これらの島々は、海食崖に囲まれた地形が特徴的です。周辺の海域は透明度が高く、多くのダイバーが訪れるスポットとなっています。宇治群島の位置関係は、北北東約50kmに
下甑島、南方約35kmに草垣群島、南東約55kmに黒島、東側約30kmに津倉瀬があります。
面積: 約1.7平方キロメートル
位置: 北緯31度11分、東経129度27分
周囲: 約12.3km
島々の詳細
宇治島(うっちま): 面積は約0.5
平方キロメートル、標高95mです。小さな避難港があります。
宇治向島(うじむかえしま): 面積は約1.69平方キロメートル、標高319mで、宇治群島の中で最も大きな島です。
その他: 家島、鮫島、弁慶島、鳥島、雀島といった小さな島や、西立神島、鳥瀬、梶原鼻、川久保鼻、コベット、ウベット、チヨジ瀬、二子瀬などの岩礁や瀬があります。かつて存在が確認されていたスズメ北小島は、2020年の調査で存在しないことが確認されました。
地名について
宇治群島の地名には、1953年の鹿児島大学学術調査団によって名付けられたものがあります。例えば、調査団関係者の名に因む清内岳や波多江岬、調査協力を行った
南日本新聞社に因む南日岳などが挙げられます。
歴史と人間史
宇治群島は、近世期から漁業の拠点として利用されてきました。特に
宇治島には、カツオの半加工基地が置かれ、周辺海域ではサンゴの採取も行われていました。
明治時代中期には、約40世帯が季節的に定住していましたが、1895年には台風により137人が遭難する「
宇治島流」と呼ばれる大事故が発生しています。また、
明治時代までは捕鯨も行われていました。1965年から1993年にかけては、
宇治島小浦波止に避難港が整備されました。
現在では、釣りやダイビングの拠点としても利用されていますが、ゴミ問題やマナーの問題も指摘されています。さらに、島外から持ち込まれたと見られる飼いウサギが
宇治島で、ヤギが宇治向島で繁殖しており、2002年の調査ではフウセントウワタの食害も確認されており、生態系への影響が懸念されています。
施設
宇治島小浦波止には、海難事故に備えて20トン級の船舶が寄港できる避難港が整備されています。港近くには、1967年に建てられた漁業者のための簡易宿泊施設がありますが、管理が行き届いておらず荒れています。また、
宇治島中央東側の南日岳山頂近くには、
宇治島灯台があり、香港、上海、台湾などから日本に寄港する船舶の目印となっています。この灯台は太陽電池式で、
第十管区海上保安本部鹿児島航路標識事務所が定期的に点検を行っています。