ハリー・ストラドリング

ハリー・ストラドリング・シニア（1901年～1970年）は、アメリカ合衆国を代表する映画撮影監督の一人です。ニュージャージー州出身で、映画撮影監督である息子、ハリー・ストラドリング・ジュニアをもうけたことでも知られています。彼のキャリアは1920年代に始まり、1930年代にはフランス・パリに渡り、数々の作品で手腕を発揮しました。このパリ時代は、彼の撮影技法に大きな影響を与えたと考えられています。

その後、アメリカに戻ったストラドリングは、ハリウッド黄金期を代表する数々の映画制作に携わります。中でも、巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督作品への参加は、彼のキャリアにおける大きなハイライトと言えるでしょう。ヒッチコック監督作品独特の雰囲気を、ストラドリングの卓越した撮影技術が巧みに表現しています。

さらに、ストラドリングはミュージカル、歴史劇、ドラマなど、多様なジャンルの映画作品で活躍しました。その幅広いジャンルでの経験が、彼の撮影技法の多様性と柔軟性を生み出したと考えられます。時代やジャンルを問わず、常に高いレベルの作品を作り上げた彼の才能は、多くの映画関係者から高く評価されていました。

彼のキャリアは数々の栄誉に彩られています。アカデミー撮影賞には実に14回もノミネートされ、そのうち2回は受賞しています。1945年の『ドリアン・グレイの肖像』と1964年の『マイ・フェア・レディ』での受賞は、彼の卓越した技量を証明するものです。白黒映画からカラー映画へと移り変わる時代において、常に最高の技術を駆使して映像美を追求した彼の姿勢は、現代の映画撮影にも大きな影響を与えていると言えるでしょう。

主な作品には、『外人部隊』(1934年)、『女だけの都』(1935年)、『鎧なき騎士』(1937年)、『間諜』(1937年)、『ピグマリオン』(1938年)、『城砦』(1938年)、『スミス夫妻』(1941年)、『断崖』(1941年)、『大草原』(1947年)、『愛の調べ』(1947年)、『踊る海賊』(1948年)、『イースター・パレード』(1948年)、『ヴァレンチノ』(1951年)、『欲望という名の電車』(1951年)、『アンデルセン物語』(1952年)、『大砂塵』(1954年)、『野郎どもと女たち』(1955年)、『トロイのヘレン』(1956年)、『愛情物語』(1956年)、『パジャマゲーム』(1957年)、『群衆の中の一つの顔』(1957年)、『避暑地の出来事』(1959年)、『ダニー・ケイの替え玉作戦』(1961年)、『マイ・フェア・レディ』(1964年)、『女房の殺し方教えます』(1965年)、『歩け走るな!』(1966年)、『ファニー・ガール』(1968年)、『ハロー・ドーリー!』(1969年)、『大脱獄』(1970年)、『晴れた日に永遠が見える』(1970年)などがあります。これらの作品は、時代を超えて人々に愛され続けている名作ばかりです。

叔父もサイレント映画時代のカメラマンであったという家系背景も、彼のキャリアに影響を与えたと考えられます。長年にわたるハリウッドでの活躍と、数々の受賞歴は、ハリー・ストラドリング・シニアが20世紀映画史において重要な役割を果たした人物であることを物語っています。彼の作品は、現在でも高い評価を受けており、後世の映画作家たちに多大な影響を与え続けているのです。

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