ハロー!ミッドナイト
「ハロー!ミッドナイト」(HELLO! MIDNIGHT)は、
1984年10月6日から
1985年3月30日までTBS系列で放送された深夜の生
ワイド番組です。
当時、テレビ界では前年にフジテレビで始まった「
オールナイトフジ」が大きな成功を収めたことを契機に、在京民放各局がこぞって土曜深夜帯に生放送番組を編成。「土曜深夜戦争」と呼ばれる熾烈な視聴率争いが繰り広げられていました。本番組も、そうした競争の中でTBSが投入した一翼を担う番組でした。
番組内容と特徴
本番組の最大の特色は、司会に当時テレビの歌番組にほとんど出演しなかった異色の存在、ミュージシャンの
松山千春を起用した点です。番組は、彼の率直なトークをメインに据え、お色気路線が主流だった当時の
深夜番組群とは一線を画す、硬派な内容を志向しました。その方針は、多くの
深夜番組が軟派な路線をとっていた中で、異彩を放っていました。
制作経緯と結果
TBSは本番組を企画するにあたり、事前に
所ジョージを司会に据えた単発のパイロット番組を制作・放送しており、当初は
所ジョージでのレギュラー番組化も視野に入れていました。しかし、同時並行で出演交渉を進めていた
松山千春が司会を引き受けることになったため、所の起用案は見送られることとなりました。結果として、
所ジョージは日本テレビのライバル番組『
TV海賊チャンネル』に出演することになります。
ところが、蓋を開けてみると、
所ジョージ司会の『
TV海賊チャンネル』が世間の注目を集め、高い視聴率を獲得したのとは対照的に、本番組は関東地方での平均視聴率が1%台と低迷し、視聴率競争では最下位に沈む結果となりました。さらに、番組中での
松山千春の奔放で時に乱暴とも受け取られかねない言葉遣いが、一部から批判の声を受けることもありました。
番組は当初から6ヶ月間の契約でスタートしましたが、こうした視聴率の低迷や批判などの状況も相まって、契約更新は見送られ、予定通り
1985年3月30日に最終回を迎えました。
最終回ネット問題
しかし、最終回放送日である
1985年3月30日が、ちょうど「春の選抜高校野球」の期間と重なったため、
毎日放送(MBS)が制作し、TBS系列でネットされていた「球春!センバツ甲子園」の放送時間(午前0時05分開始)と本番組の開始時間が重複してしまいました。この影響で、
静岡放送など複数のネット局では、選抜高校野球中継を優先したため、最終回をネットすることができず、事実上、最終回の前週をもって番組が終了した形となりました。唯一、
毎日放送のみが、一週間遅れの
1985年4月6日に最終回を時差放送しています。
番組終了後の動向
本番組の終了後、TBSはすぐに他局のお色気路線に追随することなく、日本テレビの『
久米宏のTVスクランブル』での奔放な発言が当時注目されていた
横山やすしを司会に起用した『やすしの度胸一発』を後番組としてスタートさせました。しかし、この番組も視聴率は振るわず、半年で終了という憂き目に遭っています。また、本番組の不振が影響したのか、
毎日放送では、これ以降1995年4月に音楽番組『CDTV』が始まるまで、長らくTBS制作の土曜
深夜番組を同時ネットしない状況が続きました。
エピソード
番組内のコーナーの一つとして、
松山千春ら出演者が一週間のニュースを振り返り、コメントする時間がありました。しかし、ここでの出演者の発言内容が、しばしばTBS報道局の見解やスタンスと異なっていたため、報道局からコーナーに対するクレームが度々寄せられたとされています。
1984年12月29日の放送回は、年内最後の放送として「望年会」と題し、通常の2時間枠を大幅に拡大し、午前4時30分までの4時間25分にわたる長時間スペシャルとして放送されました。これは、同時間帯のライバル番組である日本テレビの『
TV海賊チャンネル』も、同じ日の同じ終了時間まで「忘年会企画」と称して拡大放送を行ったことへの対抗措置であり、土曜深夜戦争の激しさを象徴する一幕でした。ちなみに、同時期のライバル番組であるフジテレビの『
オールナイトフジ』はその日午前3時40分頃に終了、
テレビ朝日の『
ミッドナイトin六本木』は通常通りの午前3時終了でした。
主な出演者
松山千春(司会)
山本コウタロー
有村かおり(当時TBSアナウンサー)
主なネット局
東京放送(制作局、現・
TBSテレビ)
北海道放送
東北放送
テレビ山梨
信越放送
新潟放送
静岡放送
中部日本放送(現・
CBCテレビ)
毎日放送
山陽放送(現・
RSK山陽放送)
中国放送
RKB毎日放送
ほか
同時期の主なライバル番組
TV海賊チャンネル(日本テレビ)
オールナイトフジ(フジテレビ)
ミッドナイトin六本木(
テレビ朝日)
夜はエキサイティング(
テレビ東京)※同時間帯唯一の収録番組