ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団

ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団

ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団（Nemzeti Filharmonikus Zenekar）は、ハンガリーの首都ブダペストを拠点とする、同国を代表するオーケストラです。その歴史は、前身であるブダペスト市立管弦楽団に遡り、1923年に正式に設立されました。長年にわたりハンガリーの主要な音楽機関として、その発展に深く貢献しています。

沿革

楽団は1923年、ブダペスト市立管弦楽団を母体として新たな一歩を踏み出しました。創立から第二次世界大戦が始まるまでの約15年間、Dezső Borが首席指揮者として楽団を率いました。彼の指導の下、楽団は基礎を固め、ブダペストの音楽シーンにおける重要な存在となりました。

第二次世界大戦後、荒廃した状況から復興を遂げた楽団の首席指揮者には、フェレンツ・フリッチャイとショモギー・ラースローが就任しました。この困難な時期に楽団の再建に尽力し、活動の基盤を再び築き上げました。また、この時代には、オットー・クレンペラーやアンタル・ドラティといった世界的な巨匠たちが客演指揮者として指揮台に立ち、楽団の芸術性を高める上で大きな刺激となりました。

1952年からは、ヤーノシュ・フェレンチクが首席指揮者に就任します。フェレンチクは1984年に亡くなるまで実に30年以上にわたりこのポストを務め、楽団は彼の下で黄金期を迎えました。フェレンチクはハンガリー音楽のスペシャリストとして知られ、バルトークやコダーイといったハンガリーの作曲家の作品演奏に力を注ぎ、楽団の国際的な評価を確立しました。

フェレンチクの没後、楽団は新たな時代に入ります。1987年には日本人指揮者として初めて、小林研一郎が首席指揮者に迎えられました。小林は1992年には音楽総監督に就任し、1997年までその任を務めました。東洋の指揮者がハンガリーの主要オーケストラのトップに立ったことは当時大きな話題となりました。小林の後任として、1997年にはハンガリーが誇る世界的なピアニストであり指揮者でもあるゾルタン・コチシュが音楽総監督に就任しました。コチシュは2016年に亡くなるまで、楽団のレパートリー拡大や現代音楽への取り組みを積極的に推進しました。

楽団の運営体制にも重要な変化がありました。1998年には、ハンガリー国立合唱団とともに国立の組織として再編成されました。これにより、国立文化財省からの補助金を受けるなど、国からの公的な支援の下で安定した運営が行われるようになり、名実ともにハンガリーを代表する国立オーケストラとしての地位を確固たるものとしました。

コチシュの死去後、2017年から2020年までZsolt Hamarが音楽総監督を務め、2022年からはジェルジ・ヴァシェジがこのポストに就任しています。

活動

ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団は、ブダペストを拠点に定期演奏会を開催するほか、ハンガリー国内の主要都市や世界各地での公演活動を積極的に行っています。特にハンガリーの国民楽派の作曲家たちの作品演奏には定評があり、国の音楽遺産を国内外に伝える重要な役割を担っています。幅広いレパートリーを持ち、古典から現代音楽まで多岐にわたる作品を演奏することで、ハンガリーの音楽文化の振興に貢献しています。

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