ショモギー・ラースロー

ショモギー・ラースロー

ショモギー・ラースロー（Somogyi László）は、1907年6月25日にハンガリーの首都ブダペストで生を受け、1988年5月20日にスイスのジュネーヴでその生涯を閉じた、20世紀を代表するハンガリー出身の指揮者の一人です。

若くして音楽の才能を示した彼は、ハンガリー随一の音楽教育機関であるフランツ・リスト音楽院で専門的な研鑽を積みました。この名門校では、作曲家としても知られるゾルターン・コダーイや、ヴァイオリニストで教育者のイェネー・ヴェイネルといった、当時のハンガリー音楽界を牽引する偉大な師事たちの指導を受けました。彼らの薫陶は、ショモギーの音楽的な基礎と芸術観を形成する上で決定的な影響を与えたと考えられます。さらに、1935年にはブリュッセルへと渡り、革新的な指揮者として知られるヘルマン・シェルヘンからも指導を受け、その指揮技法や解釈にさらなる磨きをかけました。

第二次世界大戦終結を控えた1943年、ショモギーは故国ハンガリーに戻り、ブダペスト交響楽団の創設に深く関わります。戦後の混乱期を経て、1945年にはハンガリーの音楽界の中心的存在であるハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任しました。このポストを、後に国際的な名声を確立するフェレンツ・フリッチャイと共に務め、新生ハンガリーの音楽文化復興に尽力しました。その後も国内での主要な活動を続け、1950年には自身が設立に関わったブダペスト交響楽団の首席指揮者となり、その演奏水準向上に貢献しました。

しかし、1956年に発生したハンガリー動乱は、彼のキャリアに大きな転換点をもたらしました。政治的な混乱を避けるため、彼は祖国を離れ、アメリカ合衆国への亡命を決意します。新天地アメリカでは、その才能と経験が高く評価され、新たな活躍の場を見出しました。特に、1964年から1968年にかけては、アメリカの主要オーケストラの一つであるロチェスター・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者を務め、アメリカの聴衆にもその卓越した指揮を披露しました。この時期の活動は、彼の国際的なキャリアにおける重要な一章となりました。

アメリカでの活動を終えた後も、彼は国際的に客演指揮者として活躍したと推測されます。1988年、70代後半を迎えていたショモギー・ラースローは、静養先のジュネーヴでその波乱に満ちた生涯を閉じました。ハンガリー国内でのオーケストラ育成から始まり、亡命を経てアメリカで再び指揮者としての地位を確立した彼のキャリアは、20世紀半ばの東欧における音楽家が辿った困難な道のりを示す一例とも言えます。彼の指揮は、特に故郷ハンガリーのレパートリーにおいて、その深い理解と表現力によって今なお記憶されています。

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