ハンス＝エミール・シュスター

ハンス＝エミール・シュスターの業績

ハンス＝エミール・シュスター（Hans-Emil Schuster）は、1934年9月19日にドイツのハンブルクで生まれた著名な天文学者です。彼は大学で天文学を学び、その後、ベルゲドルフのハンブルク天文台やヨーロッパ南天天文台での研究を通じて、天文学界に多大な貢献を果たしました。特にラ・シヤ天文台の所長として、南半球の天体観測において重要な役割を果たし、1991年に引退するまでの長いキャリアを築いてきました。

シュスターは、周期彗星106P/シュスター彗星を発見したことで有名です。この彗星は、これまでに発見された彗星の中で最も遠い近日点を持つ彗星であり、その距離は6.88 AUに達します。また、彼はC/1976 D2（発見当初は1975 IIまたは1976cとも呼ばれていた）も発見しており、これらの成果は彼の天文学者としての名声を高める一因となりました。

天文学の分野では、シュスターが発見した小惑星も多く、なんと25個に及びます。特に彼が発見した小惑星の中にはアポロ群の(2329) Orthosやアモール群の(2608) Senecaをはじめ、(3271) Ul、(3288) Seleucus、(3908) Nyxなどが名を連ねています。また、1978年に発見された地球近傍小惑星1978 CAは、一度失われてしまいましたが、2003年に再発見され、(161989) Cacusと名付けられました。

シュスターは、ヨーロッパ南天天文台の活動にも深く関与しました。ラ・シヤ天文台とパラナル天文台の建設地の選定や試験にも携わり、特に1978年に実施されたESO-B survey（「Quick-Blue Survey」）は南半球での最初の深宇宙探査プロジェクトとして知られています。さらに、「Red Sky Survey」は彼がラ・シヤ天文台において1mシュミット式望遠鏡を活用して行った観測で、これもまた重要な成果となりました。

また、シュスターはリチャード・マーティン・ウェストとともにほうおう座矮小銀河の発見に寄与し、1976年には最も遠い球状星団の一つであるEridanus Globular Clusterを発見しました。1980年には、NGC 1255銀河内で超新星を発見するという重要な業績も残しました。これらの発見は、彼の研究がいかに幅広い分野に渡るものであったかを物語っています。

彼の功績を讃える意味で、小惑星(2018)シュスターにも彼の名前が付けられています。シュスターの一連の業績は、彼が天文学界において非常に重要な存在であることを示しています。

もう一度検索