ハンバー・ホーク

ハンバー・ホーク：英国が生んだ大型サルーンの系譜

ハンバー・ホークは、イギリスのルーツ・グループ傘下のハンバー社が製造した、大型4気筒エンジンを搭載するサルーンカーです。第二次世界大戦後に発売されたハンバー車の最初のモデルであり、その歴史は長く、様々な改良を経て進化を遂げました。

ホークMk IとMk II：戦前車の系譜を受け継いで

初代ホーク（Mk I）は、戦前のヒルマン14をベースに開発されました。1944ccのサイドバルブ直列4気筒エンジンと4速マニュアルトランスミッションを搭載し、後輪駆動方式を採用。独立懸架式の前輪サスペンションと板バネによる後輪サスペンションを備えていました。ボディは4ドア6ライトの構造で、サンルーフが標準装備されていました。

1947年9月に登場したMk IIは、Mk Iをベースにマイナーチェンジが施されました。最も大きな変更点は、ギアチェンジがフロアシフトからコラムシフトに変更された点です。最高速度は約105km/hに達しました。

ホークMk IIIからMk V：新たなデザインと性能向上

1948年、ロンドンモーターショーで発表されたMk IIIは、大幅な改良が加えられた新型モデルでした。ローウィ・スタジオがデザインを手掛けた新しいボディは、ヘッドライトとフェンダーを一体化し、洗練されたデザインとなりました。シャーシも刷新され、前輪サスペンションはコイルスプリング式独立懸架に、後輪サスペンションはハイポイドギアを使用した新設計に変更されました。ボディカラーは、ツートーンやメタリック塗装を含む豊富なバリエーションが用意されました。メタリック塗装は、ホークの生産終了間際まで継続して提供されました。

1950年には、2267ccエンジンを搭載したMk IVが登場。1951年の『モーター』誌のテストでは、最高速度約115km/h、0-97km/h加速30秒という性能を記録しました。

1952年のMk Vは、メカニズムに変更はなく、主にフロントマスクのデザインが変更されました。「ラグジュアリー・ツーリング・リムジン」モデルも追加されました。

ホークMk VIとVIA：OHVエンジンとエステートモデルの登場

Mk VIでは、エンジンがOHV化されるなど、メカニカルな改良が施されました。ボディデザインも変更され、全長が延長されました。1955年には、フォールディング式のテールゲートを備えたエステートモデルが追加されました。

1956年には、内装が変更されたマイナーチェンジモデルMk VIAが登場し、「デラックス」グレードが追加されました。同年の『モーター』誌のテストでは、最高速度約128km/hを記録しました。

ホークシリーズIからIVA：モノコックボディと進化

1957年、ホークは、ハンバー・スーパー・スナイプと共通のモノコック構造ボディを採用した新型モデルとなりました。これは当時、イギリスで生産されたサルーン/エステートカーの中で最大級のボディサイズでした。2267ccエンジンは改良が加えられ、ボルグワーナー製のオートマチックトランスミッションがオプションとして設定されました。スタイリッシュなデザインは、広大なガラス面積と、1955年シボレーを彷彿とさせるラップアラウンド・フロントスクリーンが特徴でした。エステートモデルは上下2分割式のテールゲートを備えていました。

その後も、シリーズI～IVAとモデルチェンジを繰り返し、ブレーキシステムやサスペンションなどに改良が加えられました。シリーズIVAでは、オートマチックトランスミッションが再びオプションとして設定されました。一部のモデルでは、コラムシフトレバーがフロアシフトに変更されたものもありました。

1957年のシリーズIの『モーター』誌によるテストでは、最高速度約135km/hを記録しました。

1967年3月、ルーツグループはホークの生産終了を発表。大型車市場は輸入車に委ねられることとなりました。ホークの生産終了は、ルーツグループが大型ファミリーカー市場から撤退する転換期となりました。特に、大型エステートカー市場は、その後登場したボルボ145とその後継車によって急速に変化していきました。ホークは、英国自動車史において、その存在感を示したモデルとして記憶されています。

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