ハンプシャー (装甲巡洋艦)

ハンプシャー (HMS Hampshire) の歴史

ハンプシャー（HMS Hampshire）はイギリス海軍の装甲巡洋艦で、デヴォンシャー級に分類されます。この艦名は、イングランドのハンプシャーに由来しています。艦の建造は1902年に始まり、1903年には進水、1905年に完成しました。その後、海峡艦隊の第1巡洋艦戦隊に配属され、最初の軍務を開始しました。

艦歴の概要

ハンプシャーは1911年に再就役し、地中海艦隊の第6巡洋艦戦隊として活動を再開しました。そして、1912年には中国艦隊に転属されました。第一次世界大戦の勃発時、ハンプシャーはすでに威海衛にあり、そこから小規模な部隊として行動を開始しました。

当初は、ハンプシャーはドイツの無線施設を破壊する任務を担っていましたが、途中で石炭不足になり、他の船と合流するために香港へ向かうことになります。その後、ドイツ船の捜索活動に参加し、特にコンピュータ上の合成艦艇であるエムデンを追跡する任務に従事しました。この捜索は効果を上げ、エムデンは1914年に撃沈されました。

戦時活動

その後、ハンプシャーはANZACの兵員輸送船団を護衛し、ジブラルタルでの修理を経て、本国に帰還しグランド・フリートに加わります。1915年以降は第7巡洋艦戦隊に配属され、北海での船舶護衛に従事します。

1916年5月31日に行われたユトランド沖海戦では、ハンプシャーはドイツ艦隊に対して射撃を行いましたが、命中には至りませんでした。その後、艦は元帥キッチナーをスカパ・フローからアルハンゲリスクへ輸送する任務を受けました。

沈没の瞬間

出航は16時45分で、護衛の駆逐艦と共に出発しましたが、強風により駆逐艦は次第に落伍しました。19時40分、ハンプシャーはメインランド島沖で突然の爆発に見舞われました。この爆発はドイツの潜水艦「U75」によって敷設された機雷によるもので、艦は爆発からわずか15分後に沈没しました。乗員は735名と14名の乗艦者がいましたが、生存者はわずか12名で、キッチナー元帥を含む者たちは全て救助されることはありませんでした。

ドイツのスパイ説

沈没には、ドイツのスパイであるフリッツ・ジュベール・デュケインが関与したとの説があります。デュケインが元帥キッチナーを抹殺すべく、Uボートに合図を送り雷撃を実行したとされる逸話です。このエピソードについては、近年になって信憑性が疑問視されていますが、情報不足のため、その真偽については依然として不明点が残っています。

文化への影響

ハンプシャーの運命は、映画『キングスマン:ファースト・エージェント』などに影響を与えました。この作品では、艦がUボートによって攻撃される場面が描かれています。デュケインに関する伝記が物語の背景に影響を与えているのです。

このように、ハンプシャーはただの艦船ではなく、数々の歴史的出来事と深く結びついている存在であり、今でも多くの人々に記憶されています。彼女の栄光と悲劇は、海軍の歴史の中で忘れられることはないでしょう。

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