ハーディービジョン

ハーディービジョン：クラシックへの夢と、その後の人生

ハーディービジョンは、1983年の朝日杯3歳ステークスなど重賞競走2勝を挙げた名競走馬です。恵まれた才能を持ちながらも、故障によりクラシックへの挑戦を断念した、数奇な運命を辿った馬として知られています。

1983年6月、札幌の新馬戦でデビュー。初戦は見事な逃げ切り勝ちを収め、関係者の期待を集めました。しかし、その後は骨膜炎に悩まされ、思うような成績を残せませんでしたが、京成杯3歳ステークスでは後方待機策から鮮やかに差し切り、重賞初制覇を飾ります。続く朝日杯3歳ステークスでも、圧倒的な強さで優勝。重賞2勝目を挙げ、その潜在能力の高さを改めて示しました。特に朝日杯での上がり3ハロン34秒9という驚異的なタイムは、当時の3歳馬としては異例のものでした。

1984年、クラシック戦線への期待が高まる中、シンボリルドルフ、ビゼンニシキとともに「関東三強」と呼ばれ、クラシック制覇への期待が膨らみました。しかし、弥生賞への調整中に不慮の事故で左前脚の靱帯を損傷。クラシックへの挑戦を諦めざるを得なくなり、長期休養に入りました。この年はシンボリルドルフが日本競馬史上初の無敗三冠を達成することになります。

関係者はハーディービジョンの復活を試みましたが、再びレースに復帰することは叶わず、1987年2月に競走馬としての生活に幕を閉じました。しかし、主戦騎手であった的場均騎手は、インタビューでハーディービジョンへの深い愛情と、その才能への惜しみない賛辞を述べています。的場騎手は、ハーディービジョンの潜在能力の高さを高く評価し、もしシンボリルドルフと対戦したとしても、勝機があったと語っています。

引退後は種牡馬となりましたが、種牡馬としては成功せず、その後は帯広畜産大学馬術部に寄贈され、乗馬として第二の人生を歩み始めます。激しい気性から乗馬には向かないとされたハーディービジョンでしたが、馬術部員の献身的な努力により、気性は徐々に改善され、全日本総合馬術大会では5位入賞という素晴らしい成績を残すまでに成長しました。

1996年12月、疝痛を発症し、開腹手術が行われたものの、結腸破裂が見つかり、回復の見込みがないと判断されたため、安楽死の措置が取られました。馬術部員や関係者にとって大きな損失となり、その死は多くの関係者の心を痛ませました。

ハーディービジョンは、競走馬としての短い期間だけでなく、種牡馬、乗馬としてのキャリアを通じて、多くの人々に感動と記憶を与え続けました。その才能と、努力によって困難を乗り越えようとしたその生き様は、今もなお、多くの人々の心に深く刻まれています。

競走成績（netkeiba.comに基づく）

(※競走成績の詳細は、netkeiba.comやJBISサーチ等で確認できます。ここでは詳細な成績表は割愛します。)

血統表

(※血統表は、資料の都合上、ここでは掲載できません。)

参考文献

『競馬名馬読本 - 思い入れ思い込みの競馬事典』（宝島社、1991年）ISBN 978-4796691437
大川慶次郎ほか『サラブレッド101頭の死に方(2)』（アスペクト、1997年）ISBN 978-4893668752
『優駿』1994年12月号（日本中央競馬会）西野ひろよし「優駿ロングインタビュー 的場均 - 積み重ねるということ」

外部リンク

競走馬成績と情報 netkeiba、JBISサーチ

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