ハーネルMP41短機関銃

ハーネルMP41短機関銃：MP40の陰に隠れた警察用SMG

ハーネルMP41は、第二次世界大戦中にドイツで開発された短機関銃です。一見するとMP40に似ていますが、MP28をベースに開発された、警察や治安維持部隊向けのSMGという点で異なっています。

開発の背景

1930年代、ドイツではMP28が警察用短機関銃として使用されていました。MP28は第一次世界大戦に登場したMP18を改良したもので、スペイン内戦でも活躍しましたが、MP40との部品や弾倉の互換性がありませんでした。そこで、補給・生産の効率化を図るため、MP28に代わる新たな警察用短機関銃の開発が始まりました。

ヒューゴ・シュマイザーによる設計

MP41の開発を担当したのは、ヒューゴ・シュマイザーです。ベルグマン社からヘーネル社に移籍していた彼は、MP28をベースにMP40の部品を組み合わせ、1941年にMP41を完成させました。

MP40との違い

MP41の外見は、MP40に似ていますが、いくつかの点で異なっています。MP40にあった下部のピストルグリップと折り畳み式銃床は、固定式の木製銃床に置き換えられました。また、銃身保護用のガードも省略されています。弾倉は32発用の専用箱型弾倉のほかに、MP38やMP40の弾倉も使用可能です。

射撃制御機構はMP40とは異なり、MP28の構造を受け継いでいます。アッパーレシーバーの下面に直接取り付けられており、作動原理もMP28と同じです。トリガーの上部にあるフル・セミオート射撃切替用のクロスボルトスイッチも、MP28と同様の形式です。

治安維持部隊での活用

MP41の特徴である木製銃床は、治安維持部隊などで暴徒鎮圧の際に役立ちました。発砲するよりも銃床で殴ることが多かったため、非殺傷を目的とした鎮圧活動に適していたとされています。

第二次世界大戦とその後のMP41

生産されたMP41は、1941年からドイツ保安隊や国家警察部隊（治安維持部隊）などに供給され、MP28とともに使用されました。また、MP41の大部分は同盟国であるルーマニア軍に供給され、ルーマニアで独自に設計・採用された短機関銃であるオリタM1941と全体のデザインが類似しています。

第二次世界大戦後もルーマニアでは1970年代まで使用され、冷戦終結後には無可動実銃として日本にも僅かに輸入されています。また、旧ナチスドイツから東側諸国によって鹵獲されたものが、親東側諸国・勢力に供給され、第一次インドシナ戦争やベトナム戦争、アルジェリア戦争などの第三世界における戦争や紛争で使用されました。

ハーネルMP41の評価

MP41は、MP40ほどの知名度はありませんが、警察用短機関銃として一定の評価を得ていました。MP40との部品の互換性や、木製銃床による鎮圧能力などが評価された要因と考えられます。

登場作品

『ちいさな独裁者』：「ヘロルト戦闘団」に加わるドイツ空軍兵士たちのうち一名が所持。

関連項目

時代別短機関銃・PDW等一覧
MP40
ベレッタ M1938A

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