ハープ協奏曲 (ヒナステラ)

アルベルト・ヒナステラ：ハープ協奏曲 作品25

アルゼンチンの作曲家アルベルト・ヒナステラ（Alberto Ginastera, 1916-1983）によるハープ協奏曲（Concierto para arpa y orquesta）作品25は、独奏ハープとオーケストラのために書かれた重要な作品です。約25分を要するこの協奏曲は、ヒナステラの作品群の中でも特に色彩豊かで華麗な響きを持つことで知られています。

作曲の背景と経緯

本作は、1956年にフィラデルフィア管弦楽団の主席ハープ奏者を務めていたエドナ・フィリップスからの委嘱を受けて作曲が開始されました。フィリップスは、1958年にワシントンD.C.で開催が予定されていた第1回アメリカ大陸音楽祭での世界初演を目指していました。しかし、ヒナステラは多忙のため、作曲のペースが計画よりも遅れ、音楽祭の期日までに楽譜を完成させることができませんでした。この予期せぬ遅延により、フィリップスは残念ながらこの作品の世界初演を自らの手で行う機会を逃すこととなります。結局、初演の権利はスペインの著名なハープ奏者、ニカノール・サバレタに譲り渡されることとなりました。作品は1965年に初演を迎えますが、その後、作曲者自身によって内容の一部が改訂され、最終的な形は1968年に整えられました。

初演

本作の世界初演は、作曲開始からおよそ9年の歳月を経た1965年に行われました。この記念すべき演奏は、独奏ハープをニカノール・サバレタ、指揮をユージン・オーマンディが務め、フィラデルフィア管弦楽団によって奏されました。

楽器編成

この協奏曲のために指定された楽器編成は、独奏ハープに加え、大規模かつ色彩豊かなオーケストラです。管楽器セクションは、以下の楽器で構成されます。

フルート2（うち1名はピッコロに持ち替え）
オーボエ2
クラリネット2
バスクラリネット1
ファゴット2
コントラファゴット1

金管楽器は、ホルン2、トランペット2が用いられます。打楽器セクションは特に多様で、ティンパニやタンブリン、シンバル、シロフォン、チェレスタを含む合計28種類ものパーカッションが指定されており、作品に極めて多彩な音色とリズムの要素をもたらしています。これに弦五部（ヴァイオリン第一、ヴァイオリン第二、ヴィオラ、チェロ、コントラバス）が加わります。

楽曲構成

作品は、伝統的な3つの楽章形式で構成されています。各楽章のテンポ表示は以下の通りです。

第1楽章：Allegro giusto（活発に、正確に）
第2楽章：Molto moderato（非常に穏やかに）
* 第3楽章：Liberamente capriccioso - Vivace（自由に気まぐれに - 活発に）

各楽章は明確な性格を持ち、独奏ハープの技巧と表現力が最大限に引き出されるように設計されています。

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