ハーヴィー・メイソン

ハーヴィー・メイソン：ジャズ・フュージョン界の巨匠

ハーヴィー・メイソン（Harvey Mason）は、1947年生まれ、アメリカ合衆国ニュージャージー州出身のドラマー、音楽プロデューサー、そして作曲家です。ジャズ・フュージョンを中心に、多岐にわたる音楽活動を展開し、特にドラマーとして、数多くのセッションやスタジオワークをこなす、音楽業界において非常に重要な人物として知られています。

生い立ちと音楽への目覚め

音楽家の父親の影響を受け、4歳からドラムを始めたメイソンは、早くからその才能を開花させました。10代の頃には既にプロの音楽家を目指し、バークリー音楽大学とニュー・イングランド音楽院で音楽を学びました。バークリー音楽大学時代には、ジャズピアニストの佐藤允彦と同期であり、ヤン・ハマーやジョージ・ムラーツといった著名なミュージシャンとも共演しました。

ロサンゼルスでの活動

1971年、メイソンは活動拠点をロサンゼルスに移し、キャロル・キング、ドナルド・バード、ジョージ・シアリング、モニカ・ルイスなど、様々なジャンルのアーティストと共演しました。1973年には、ハービー・ハンコックのグループに参加し、歴史的なアルバム『ヘッド・ハンターズ』の録音に参加。その後、ザ・ヘッドハンターズとしても活動しました。

1975年には、デイヴ・グルーシン、リー・リトナー、チャック・レイニーらと、初のリーダー作『マーチング・イン・ザ・ストリート』を録音。リー・リトナーのグループ「ジェントル・ソウツ」にも参加し、L.A.フュージョンのトップ・ドラマーとしての地位を確立しました。また、渡辺貞夫のヒット・アルバム『California Shower』のサポートメンバーとしても参加しています。

作曲家としても才能を発揮し、『ファンク・イン・ア・メイソン・ジャー』（1978年）や『グルーヴィン・ユー』（1979年）などのアルバムを発表しました。

日本のフュージョン・シーンへの貢献

1970年代後半から1980年代初頭にかけての日本におけるフュージョン・ブームの際には、アルファレコードと提携し、大村憲司など、所属アーティストのアルバム・プロデュースを手がけました。特に、デビュー間もないカシオペアの全米向けアルバム『Eyes Of The Mind』をプロデュースしたことは、彼のプロデューサーとしての名声を高める大きな要因となりました。カシオペアの音楽性をさらに飛躍させることに貢献し、彼らの先進的な音楽性を世界に広める上で重要な役割を果たしました。

カシオペアとはその後も、『Four By Four』で共演しています。

フォープレイ結成とグラミー賞ノミネート

1990年、ボブ・ジェームスのアルバム『グランド・ピアノ・キャニオン』でのセッションをきっかけに、リー・リトナー、ネイザン・イーストと意気投合し、1991年にフュージョン・グループ、フォープレイを結成。セルフ・タイトルのアルバムでデビューしました。1996年には、リーダー作『ラタマキュー』がグラミー賞にノミネートされるなど、その音楽的才能は高く評価されています。

2004年に発表したアルバム『ウィズ・オール・マイ・ハート』では、ハービー・ハンコックを含む12人ものピアニストと共演。このアルバムに参加したハービー・ハンコックが、第47回グラミー賞（最優秀ジャズ・インストゥルメンタル賞）を受賞しています。

近年の活動

2008年には、元T-SQUAREの本田雅人のアルバム『アクロス・ザ・グルーヴ』のレコーディングに参加するなど、現在も精力的に音楽活動を続けています。

ハーヴィー・メイソンの音楽は、ジャズ・フュージョンの枠を超え、多くの人々に感動を与え続けています。彼の音楽への情熱と才能は、これからも音楽界に大きな影響を与え続けるでしょう。

ディスコグラフィー (リーダー・アルバム)

『マーチング・イン・ザ・ストリート』 - Marching in the Street (1976年)
『アースムーヴァー』 - Earth Mover (1977年)
『ファンク・イン・ア・メイソン・ジャー』 - Funk in a Mason Jar (1977年)
『グルーヴィン・ユー』 - Groovin' You (1979年)
『M.V.P.』 - M.V.P (1981年)
『ストーン・メイソン』 - Stone Mason (1982年)
『ラタマキュー』 - Ratamacue (1996年)
『ウィズ・オール・マイ・ハート』 - With All My Heart (2004年)
『チェンジング・パートナーズ』 - Changing Partners (2012年)
『カメレオン』 - Chameleon (2014年)

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