バイエルン大公

バイエルン大公の歴史

バイエルン大公は、中世ドイツにおける重要な役職であり、バイエルン公国を支配したことから、その名が広く知られています。この大公職は、907年ごろに在地の貴族であるルイトポルト家のアルヌルフによって設立されました。彼は、東フランク王コンラート1世の下でその支配権を認められ、バイエルン地域を統合しました。

その後、947年にはリウドルフィング家のハインリヒ1世が大公位を継承しました。彼はまた、ハンガリー王国との姻戚関係を築き、勢力を拡大させました。976年には従兄のローマ皇帝オットー2世に対する反乱が起き、大公職は一時的に別の家に移ることになります。特に、1096年までの間、長い間バイエルン大公位は一つの家に留まることはありませんでした。

1170年代以降、ヴェルフ家がバイエルン大公位を保持し、特にハインリヒ12世の子オットーはローマ王位をも獲得するなど、政治力を強化させました。しかし、1180年には大公位がヴィッテルスバッハ家に移り、それ以降その家系が世襲することになります。

ヴィッテルスバッハ家の支配

ヴィッテルスバッハ家は1180年から1918年の共和制移行まで、バイエルン公国の支配者として君臨しました。1214年にはルートヴィヒ1世がプファルツ選帝侯位を獲得し、1328年にはルートヴィヒ4世が皇帝に即位しました。とはいえ、家内の内紛が絶えず、統一された強力な国家を形成するまでには時間がかかりました。1504年になるまで、バイエルンはまとまることができず、選帝侯になるには至っていませんでした。

16世紀に入ると、宗教改革によりバイエルンとプファルツのヴィッテルスバッハ家が対立を深めました。特に、三十年戦争では、プファルツ選帝侯フリードリヒ5世が敗北し、バイエルン公マクシミリアン1世が台頭しました。1648年には、ヴェストファーレン条約により、バイエルンが選帝侯の地位を確保します。

選帝侯としての時代

選帝侯となったバイエルンは、一躍南ドイツの有力者としてその姿を現しました。特に、スペイン継承戦争ではマクシミリアン2世エマヌエルがフランスの支援を受け、さらなる勢力を築きました。1740年には、カール・アルブレヒトがフランス軍の支援を受けて皇帝に即位することもありましたが、ハプスブルク家の反撃に遭い、いずれも短命の栄光に終わります。しかし、この年はバイエルンの名を高める重要な瞬間でもありました。

1777年、マクシミリアン3世ヨーゼフの死を受け、ヴィッテルスバッハ家は断絶し、カール4世フィリップ・テオドールがその地位を継承しました。1806年には、ナポレオンによりバイエルン選帝侯マクシミリアン4世がバイエルン王に昇格。この一連の歴史的出来事が後のバイエルン王国の形成に繋がるのです。

バイエルン大公の歴史は、数多くの家系が交錯する中で形成された、力強い国家の物語を物語っています。この地域の政治、経済、文化に与えた影響は現在もなお、ドイツ史の重要な一部分を成しているのです。

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