バイタロジー（生命学）

パール・ジャムの3枚目のアルバム『バイタロジー』（原題: Vitalogy）は、1994年にリリースされました。プロデューサーはブレンダン・オブライエンが担当しています。

このアルバムは、それまでのパール・ジャムの作風とは大きく異なり、パンク的手法を中核に据えながらも、音楽的な表現の幅広さを見せています。実験的なサウンドや、エディ・ヴェダーの感情的なボーカルが際立っており、バンドの新たな一面を垣間見ることができます。

リリース形態も異例で、当初はアナログ盤が発売され、2週間遅れてCDとカセットテープが発売されました。これは、CDの普及に対するバンドの抵抗を示すものであり、アルバム収録曲にはアナログ盤を推奨する内容の曲も含まれています。

『バイタロジー』は、ニルヴァーナのカート・コバーンの死が影響を与えているとも評されています。歌詞の内容やアルバム全体の雰囲気に、コバーンの死に対する追悼や喪失感が込められているという解釈もありますが、メンバーは「彼の死を利用するつもりはない」と、その影響を否定する見解を示しています。

本作は発売初週にアナログ盤のみで3万4千枚を販売し、ビルボード200チャートで55位に初登場しました。この3万4千枚という数字は、当時としては驚異的なもので、2014年にジャック・ホワイトのアルバム『ラザレット』に抜かれるまで、過去最高のビニール盤週間売上枚数でした。2週間後にはCDとカセットがリリースされ、同週に87万7千枚を売り上げて1位を獲得しています。

『バイタロジー』は、音楽評論家からも高い評価を受けました。その革新的なサウンドや、歌詞の深さ、そしてバンドの演奏力などが評価され、多くの音楽雑誌やウェブサイトで年間ベストアルバムに選ばれました。

また、本作は『ローリング・ストーン誌が選ぶオールタイム・ベストアルバム500』において、485位にランクインしています。これは、パール・ジャムのアルバムの中でも高い評価を受けていることを示しています。

収録曲

1. Last Exit
2. Spin the Black Circle
3. Not for You
4. Tremor Christ
5. Nothingman
6. Whipping
7. Pry, To
8. Corduroy
9. Aye Davanita
10. Satan's Bed
11. Better Man
12. Immortality
13. Stupidmop
14. Hey Foxymophandlemama, That's Me

レコーディング・メンバー

エディ・ヴェダー - ボーカル、ギター、アコーディオン
マイク・マクレディ - リードギター、ボーカル、スライドギター
ストーン・ゴッサード - リズムギター、ボーカル、メロトロン
ジェフ・アメン - ベースギター、コントラバス、ボーカル
デイヴ・アブラジーズ - ドラムス
ジャック・アイアンズ - ドラムス (#14)

『バイタロジー』は、パール・ジャムの音楽性を大きく広げた作品であり、彼らのキャリアの中でも重要なアルバムの一つとして位置づけられています。

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