バゴー

バゴー：歴史と文化が交差する古都

バゴー（Bago）は、ミャンマー（旧ビルマ）のバゴー地方域に位置する都市で、かつてはペグー（Pegu）として知られていました。古くはハンターワディー（Hanthawaddy）とも呼ばれ、その長い歴史の中で様々な民族や王朝が興亡を繰り返した場所です。人口は約22万人で、現在は観光地として多くの人々が訪れています。

名称の由来

バゴーという名前は、白鳥が住むという伝承から「白鳥の町」を意味するとされています。モン族は「Hamsawati」、ビルマ族は「Honthawati」と呼びました。9世紀には、タトンの王子がインドの軍隊に勝利した伝説から、町は「Upaykū（機知によって打ち破る）」と名付けられ、後に「Paykū」そして「Pago」へと変化しました。ビルマ族は「Bogō」「Pago」、マレー人は「Pai-gu」と呼び、モン語の碑文には「Bago」として記録されています。また、インドのオリッサに由来する「Ussāla」という古名もあり、海路でインドから移民が訪れたことを示唆しています。

歴史

伝説によると、西暦573年にタトンから来た二人の王女がバゴーを創設したとされています。仏陀が東南アジアを旅した際に、この地に2羽の黄金のツクシガモが止まっているのを見て、将来この地に繁栄国家が生まれると予言したという言い伝えもあります。その後、モン族がこの地に定住し、ホンサワトイ（Hongsawatoi）として知られる国の最初の支配者となりました。

850年頃には、アラブ人の地理学者イブン・フルダーズベによってその存在が記録されています。1056年にはパガン王朝の支配下に入りましたが、13世紀末にはモン族が再び独立し、ペグー王朝を築きました。14世紀から16世紀にかけて、ペグー王朝は低地ビルマを支配し、特にラーザーディリ王の時代にはアヴァ王朝との間で長期にわたる戦争を繰り広げました。女王シンソーブの時代には平和が訪れ、ダンマゼーディーの時代には商業と上座部仏教の中心地として繁栄しました。

1539年、タウングー王朝によってバゴーは再びビルマ人の支配下に置かれ、首都として利用されました。その後、シャムの侵攻に対する拠点としても重要視されました。17世紀にはヨーロッパ人によって壮大な街であると記録されましたが、1634年には首都がアヴァに移されました。1740年、モン族は反乱を起こし一時的に独立を回復しますが、1757年にはアラウンパヤー王によって破壊されました。

コンバウン王朝の時代にボードーパヤー王によって再建されましたが、川の流れが変わったため、かつての重要性は失われました。第二次英緬戦争後、1852年に英国に併合され、1862年には首都がヤンゴンに移されました。

観光の見どころ

バゴーには、歴史的な寺院や仏像が多く残されており、多くの観光客を魅了しています。

シュエモード・パヤー（パゴダ）： ミャンマーを代表する仏塔の一つで、黄金に輝く姿が圧巻です。
ヒンタゴン・パヤー： 伝説の鳥ヒンター（白鳥）がとまったとされる場所にあるパゴダです。
マハーゼディー・パヤー： 古代の巨大な仏塔で、その壮大さに圧倒されます。
シュエグーガラー・パヤー： 美しい装飾が施されたパゴダです。
チャイプーン・パヤー： 4つの巨大な仏像が四方を向いて座っている珍しいパゴダです。
シュエターリャウン寝仏： 全長55m、高さ16mの巨大な寝仏で、映画「ビルマの竪琴」にも登場しました。
チャカッワイン僧院： 多くの僧侶が修行に励む大規模な僧院です。
旧王宮： 発掘現場、再現された王宮、博物館があり、バゴーの歴史を学ぶことができます。

バゴーは、歴史と文化が深く結びついた魅力的な都市です。その長い歴史の中で、様々な民族や王朝が栄え、多くの文化遺産を残しました。これらの遺産は、今日でも多くの人々を魅了し、バゴーの歴史を物語っています。

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