タウングー王朝

タウングー王朝

タウングー王朝（ビルマ語: တောင်ငူမင်းဆက်）は、14世紀頃から1752年まで存在したビルマ人の王朝です。この王朝は、パガン王朝の衰退後に台頭し、ビルマの歴史において重要な役割を果たしました。

建国と初期

タウングーは、パガン王朝時代には小さな村に過ぎませんでしたが、パガン王朝の首都陥落後、難民が流入し始めました。さらに、シャン族の王朝の圧迫を逃れるため、多くの人々がタウングーに避難しました。初代王ティンカバー（1347年 - 1358年）は、この地に王宮を建設し、パガン陥落後のビルマ人の王朝を再興しました。

領土拡大と勢力争い

4代目ミンチーニョ（1486年 - 1531年）は、領土拡大を企て、特に稲作に適したチャウセーの地を手に入れることを目指しました。1503年、アワの王女と結婚し、チャウセーを獲得します。その息子タビンシュエーティー（1531年 - 1551年）の時代には、チャウセーの領有により国力が強まり、シャン族の脅威は薄れました。タビンシュエーティーは、ポルトガル人の鉄砲隊を導入し、アユタヤ王朝の占領を試みましたが、失敗しました。また、晩年にはモン族を保護し、タウングー王朝におけるモン族の影響力を増大させました。

バインナウンの時代

タビンシュエーティーの乳母兄弟であるバインナウン（1551年 - 1581年）は、モン族やシャン族を制圧し、現在のミャンマーの大部分を支配下に置きました。彼はアワに遷都し、第一次から第三次までの緬泰戦争を主導しました。特に第二次緬泰戦争（1563年 - 1564年）では、難攻不落と言われたアユタヤを陥落させ、アユタヤを属国化することに成功しました。バインナウンの治世は、タウングー王朝の最盛期でした。

衰退と復興

バインナウンの死後、タウングー王朝の勢力は衰え、国内は各地の有力者が割拠し、混乱しました。この混乱を収拾したのがニャウンヤン（1599年 - 1605年）であり、彼の王朝は復興タウングー王朝（1597年 – 1752年）と呼ばれます。ニャウンヤンの息子アナウペッルン（1605年 - 1628年）は、現在のシャン州とエーヤワディー川全域を掌握し、復興タウングー王朝を再興しました。

中国との関係

タウングー王朝の勢力が拡大すると、明王朝の冊封を受けていたタイ族の小国が次々とタウングーの勢力下に入りました。明王朝はこれに対抗し、劉綎将軍を派遣し、タウングー軍を破りました。その後も明との間で雲南辺境をめぐる争いが続きました（明緬戦争）。
明が滅亡すると、南[[明]]の残党がタウングー領内に逃げ込み、永暦帝がタウングーに抑留されました。清軍が永暦帝の引き渡しを求めて迫ったため、タウングー側は永暦帝を清軍に引き渡しました。その後、タウングー王朝は清と没交渉でしたが、1749年に清が朝貢を求めてきたため、使節団を派遣しました。

滅亡

復興タウングー王朝は100年以上王朝を維持しましたが、1740年、ペグーのモン族の王が率いる再興ペグー王朝軍の圧迫により、1752年に滅亡しました。

まとめ

タウングー王朝は、パガン王朝の崩壊後に成立し、バインナウンの時代に最盛期を迎えました。明やアユタヤ王朝との関係を通じて、激動の時代を生き抜きましたが、最終的にはモン族の再興勢力により滅亡しました。この王朝の歴史は、ビルマの政治、文化、社会に大きな影響を与えました。

参考文献

• - 根本敬、『物語　ビルマの歴史 - 王朝時代から現代まで』、中公新書、2014年

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