バディ・ベル

デビッド・ガス・ベルは、1951年8月27日にペンシルベニア州ピッツバーグで生まれた元メジャーリーガーであり、主に三塁手として活躍しました。父親のガス・ベル、息子のデビッド・ベル、そしてマイク・ベルと共に、親子孫三代でメジャーリーグ選手を経験した、稀有な野球一家の一員です。また、息子デビッドとは、親子二代でメジャーリーグの監督を務めた経験も持ちます。

プロ入りからスター選手へ

父親ガスがピッツバーグ・パイレーツに在籍していた時に生まれたベルは、1969年のMLBドラフトでクリーブランド・インディアンスから指名され、プロの道へ進みました。1972年4月15日にメジャーデビューを果たし、当初は外野手としてプレーしましたが、1973年からは三塁手に転向。同年にはオールスターに初選出されるなど、早くからその才能を開花させました。

1978年オフには、トレードでテキサス・レンジャーズへ移籍。1979年には全162試合に出場し、200安打、18本塁打、101打点という素晴らしい成績を記録。さらに、ゴールドグラブ賞を獲得し、1984年まで6年連続で同賞を受賞するほどの守備の名手でした。1980年には自己最高の打率.329をマークし、2度目のオールスター出場。1981年、1982年にも2割9分台の高打率を記録し、3年連続でオールスターに選出されました。1984年には打率.315、11本塁打、83打点でシルバースラッガー賞を獲得しています。

キャリア後半と引退

1985年途中には、かつて父親が在籍していたシンシナティ・レッズに移籍。1986年には自己最多の20本塁打を放ち、同年の日米野球ではメジャーリーグオールスターの一員として来日しました。1988年途中にヒューストン・アストロズへ移籍しますが、オフに解雇。しかし、この年には球場内外での優れた人格が評価され、「ルー・ゲーリッグ賞」を受賞しました。1989年には古巣レンジャーズに復帰しましたが、不振が続き、シーズン途中の6月に現役を引退しました。

引退後、監督として

引退後は指導者の道へ進み、レッズのコーチを経て、1994年にはインディアンスに移籍。1996年にはデトロイト・タイガースの監督に就任し、1998年までチームを率いました。2000年にはコロラド・ロッキーズの監督に就任しましたが、2002年開幕から成績不振で解任されています。2003年からはインディアンスのコーチに復帰しましたが、2005年5月31日にはカンザスシティ・ロイヤルズの監督に就任。2007年8月1日に、そのシーズン限りで辞任を発表しました。辞任理由は、成績不振や球団の決定によるものではなく、自身が2006年に癌の診断を受けたことによるもので、家族と過ごす時間を大切にしたいという意向によるものでした。その後、2015年からはシカゴ・ホワイトソックスでバイスプレジデントを務めています。

親子孫三代メジャーリーガー

ベル一家は、親子孫三代でメジャーリーガーを輩出したことで有名です。父親ガスはレッズなどで活躍し、バディ自身もスター選手として活躍しました。そして、1995年に息子のデビッド・ベルがメジャー昇格を果たしたことで、ブーンファミリーに次ぐ史上2組目の「親子孫三代メジャーリーガー」となりました。

孫デビッドがメジャーデビューしたのを見届けるかのように、祖父ガスはその4日後に亡くなりました。父ガスは通算206本塁打、バディは201本塁打を記録し、バディ引退時には、親子合計407本塁打がメジャー記録でした。その後、ブーン親子、グリフィー親子に抜かれ、現在ではボンズ親子が合計1094本塁打と記録を大幅に更新しています。

また、祖父ガスは1951年7月4日に、デビッドは2004年6月28日にそれぞれサイクルヒットを記録しており、史上初の「祖父と孫がサイクルヒット」を達成しています。ゲーリー・ウォード、ダリル・ウォード親子も親子でサイクルヒットを達成していますが、祖父と孫の達成は現在もベル一家のみです。

主な記録と表彰

シルバースラッガー賞：1回 (1984年)
ゴールドグラブ賞：6回 (1979年～1984年)
ルー・ゲーリッグ賞：1回 (1988年)
MLBオールスターゲーム選出：5回 (1973年、1980年、1981年、1982年、1984年)

デビッド・ベルは、選手としてだけでなく、監督としてもメジャーリーグに貢献し、その功績は高く評価されています。ベル一家の野球における功績は、野球史に長く語り継がれるでしょう。

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