バヌアツ航空

バヌアツ航空：輝かしい歴史と突然の終焉

バヌアツ航空は、南太平洋の島国バヌアツの空を長年支えてきたフラッグキャリアです。1980年、ニューヘブリデス航空として設立され、翌年にはバヌアツ航空と社名変更。以来、バヌアツ国内28空港を結ぶ国内線ネットワークと、オーストラリア、ニュージーランド、ニューカレドニアなどオセアニア諸国への国際線を運航し、地域の航空交通において重要な役割を果たしてきました。

バヌアツ航空は、アマデウスITグループの座席予約システムを採用するなど、近代的な航空運営体制を整備していました。2007年には20周年を迎え、順調な発展を遂げていたかに見えました。しかし、2024年という節目の年、事態は急転直下します。

2024年1月、国際線において唯一の機材であったボーイング737-800がオーストラリア・ブリズベン空港に到着後、深刻な機体不具合により運航不能に陥りました。この事態を受け、バヌアツ航空は、ナウル航空やソロモン航空といった地域のパートナー航空会社と提携し、ウェットリース契約により代替機材を確保することで、国際線の運航を維持しようと試みました。ウェットリースとは、航空機だけでなく、操縦士や整備士といった乗員もリースする契約形態です。しかし、この緊急措置も焼け石に水でした。

2024年5月9日、バヌアツ航空はついに運航停止を発表し、会社清算の手続きに入りました。長きにわたってバヌアツの空を飛び続けたフラッグキャリアの突然の終焉は、地域社会に大きな衝撃を与えました。

機材と就航都市

運航停止時点でのバヌアツ航空の保有機材は、ボーイング737-800（1機、運航停止中）、ATR72-500（1機）、ATR72-600（1機）と、発注済みのエアバスA220-100（2機）、エアバスA220-300（2機）、さらに4機の追加発注権がありました。

2009年当時、バヌアツ航空はオーストラリア（ブリスベン、メルボルン、シドニー）、ニュージーランド（オークランド）、ニューカレドニア（ヌーメア）など、複数の都市に就航していました。

コードシェアとその他の情報

バヌアツ航空は、フィジー・エアウェイズやニュージーランド航空など、いくつかの航空会社とコードシェア契約を締結していました。

また、興味深い事実として、在バヌアツ日本国大使館は2020年7月1日からバヌアツ航空本社ビルの2階（日本の階数表記で3階に相当）に入居しています。

バヌアツ航空の運航停止は、単なる経営破綻ではなく、航空業界を取り巻く複雑な要因が重なり合った結果であると考えられます。機材の老朽化、保守費用、国際的な競争激化、そしてパンデミックの影響など、様々な要素がバヌアツ航空の存続を脅かしていた可能性があります。今後のバヌアツの航空事情、そしてオセアニア地域の航空ネットワークにどのような影響を与えるのか、注視していく必要があります。

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