バラク (ジョチ家)

バラク（ジョチ・ウルス）

バラク（? - 1428年頃）は、15世紀前半のジョチ・ウルスのハンであり、その生涯は激動に満ちていました。彼は、ジョチ・ウルスの再興を目指しましたが、内部抗争と外部からの圧力に翻弄され、最終的には落命しました。

生涯

バラクは、1370年代のジョチ・ウルスのハンであるオロスの孫にあたります。父クユルチュクはハンの地位を窺い失敗。バラクもまた、ハン位を強く求めました。1419年、バラクはティムール朝のウルグ・ベクに援助を求め、手厚い歓迎を受けます。

キプチャク草原に戻ったバラクは、フダーイダードやウルグ・ムハンマドといったライバルたちを打ち破り、1422年にはフダーイダードに決定的な勝利を収めます。1423年にはヴォルガ川を越え、モスクワ南方のオドエフに侵入。1424年にはウルグ・ムハンマドを破り、ウルグ・ベクに使者を派遣してハン位を宣言しました。

しかし、バラクの治世は長くは続きませんでした。ウルグ・ムハンマドに首都サライを奪われ、1427年にはジョチ・ウルスはバラク、デヴレト・ベルディ、ウルグ・ムハンマドの三者の勢力に分裂しました。

西方での勢力拡大に失敗したバラクは、東方への進出を試み、同盟者であるマンギト部の指導者マンスールを殺害。オロスが支配していたスグナクの領有権を主張し、ウルグ・ベクと対立します。スグナクを略奪したバラクは、ウルグ・ベクとの戦闘で勝利を収めますが、その直後、マンギトと同盟したクチュク・ムハンマド・ハンとの戦いで落命したと考えられています。

バラクの死後

バラクの死後、ジョチ・ウルスはさらに衰退の一途を辿ります。彼の息子たちは、それぞれの勢力を築き、カザク・ハン国の成立にも関与しました。

バラクの生涯は、ジョチ・ウルスの衰退を象徴する出来事として、歴史に刻まれています。

子

ミール・サイード
ミール・カシム
ジャニベク（アブー・サイード）

参考文献

長峰博之「「カザク・ハン国」形成史の再考『東洋学報』90巻4号収録（東洋文庫, 2009年3月）
* S.G.クシャルトゥルヌ、T.I.スミルノフ「カザフスタン中世史より」『アイハヌム2003』収録（加藤九祚訳, 東海大学出版会　2003年）

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