バラタ (皇帝)

バラタ：古代インドの伝説的な王

バラタ（サンスクリット: भरत Bharata）は、古代インドにおける重要な伝説の中で語られている王であり、バラタ族の始祖とされています。彼は『マハーバーラタ』において、インド亜大陸全体を支配した皇帝として描かれています。インドという国名が「バーラタヴァルシャ」と呼ばれることも、彼の存在に由来しています。

ヴェーダにおけるバラタの位置付け

インドの叙事詩やプラーナ文献に登場する有名な王たちは、『リグ・ヴェーダ』にはほとんど見られないのですが、バラタはその数少ない例外の一つです。彼に関する言及は、バラタ族の始祖としての側面が中心となっており、具体的な行為についての記録は限られています。例として、アグニに関する賛歌（7.8）では、「バラタの火（アグニ）」が敵を打ち破った様子が描かれています。この象徴は、バラタ族の軍事力を示すものであり、彼自身の行動を示すものではありません。

ブラーフマナに記されたバラタの物語

『アイタレーヤ・ブラーフマナ』では、バラタがドゥフシャンタの子であり、全世界を征服したこと、さらには大規模な供犠祭を行ったとされています。また『シャタパタ・ブラーフマナ』では、彼の母がアプサラスのシャクンタラーであること、さらにバラタがインドラに対して数多くの馬の供犠（アシュヴァメーダ）を行ったことが記されています。

マハーバーラタにおけるバラタの重要性

『マハーバーラタ』では、主要な登場人物であるカウラヴァとパーンダヴァいずれもバラタの子孫とされています。この作品の第1巻には、バラタの父であるドゥフシャンタ王がシャクンタラーと出会う場面が描かれています。彼女は、インドラの元に帰ってしまったアプサラス・メーナカーの子供であり、ドゥフシャンタとはガンダルヴァ婚を行いました。その後、シャクンタラーは王の子供を産みましたが、ドゥフシャンタは当初彼を認知しませんでした。しかし、天の声によって真実が明かされ、子供はバラタと名付けられ、王位継承者となりました。

バラタはその後、全世界の王を支配することとなり、「チャクラヴァルティン」（地上すべての支配者）として尊ばれました。彼は祭儀を通じて国家を統治し、数々の祭典を執り行いました。多くの妃と子を持つものの、彼が考えるには子供達は王位を継ぐにはふさわしくないとされ、妃たちが激怒し、子供たちを殺してしまう事態が発生しました。その後、彼は祭官バラドヴァージャの助けを借りて新たな子を得たことで、バラタ族の始祖としての地位を確立します。新しい継承者であるブーマニユ（彼の母はカーシー国王の娘であるスナンダー）も重要な役割を果たしました。

結論

このように、バラタは古代インドの文化や伝説において重要な役割を果たした人物です。彼の物語はインドの歴史に深く根ざしており、文学作品や神話の中で今も生き続けています。彼が残した影響は、後の世代にわたり語り継がれることでしょう。

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