バリー・アルトシュル

バリー・アルトシュル：フリー・ジャズ界の革新的ドラマー

バリー・アルトシュル（1943年1月6日生まれ）は、ニューヨーク出身のドラマーであり、フリー・ジャズとハード・バップの世界で重要な足跡を残しました。1960年代後半に、ピアニストのポール・ブレイやチック・コリアとの共演を通じてその名を知られるようになりました。

生い立ちと初期の音楽活動

ロシア系ユダヤ人の血を引くアルトシュルは、建設作業員やタクシー運転手として働く労働者の家庭に育ちました。音楽の道を志す彼は、当初は独学でドラムを学び、1960年代にはチャーリー・パーシップに師事しました。その後の10年間で、彼はポール・ブレイとの共演を重ね、音楽的な才能を開花させていきました。

1969年には、チック・コリア、デイヴ・ホランド、アンソニー・ブラクストンと共に革新的なグループ「サークル」を結成。この時期、彼はグレッチのドラムキットを使用し、ハイピッチなサウンドを追求するためにドラムやパーカッションの機材を追加していました。

1970年代：アンソニー・ブラクストンとの協働

1970年代、アルトシュルはアンソニー・ブラクストンのカルテットで幅広く活動し、ケニー・ホイーラー、デイヴ・ホランド、ジョージ・E・ルイスといった才能あるミュージシャンたちと共演しました。ブラクストンはアリスタ・レコードとの契約を通じて、数十もの打楽器、弦楽器、管楽器を携えてツアーを行うことができました。アルトシュルは、前衛的なミュージシャンとのアンサンブルへの参加に加えて、リー・コニッツやアート・ペッパーなど、ストレート・アヘッドなジャズの演奏家とも共演し、その音楽性の幅広さを示しました。

リーダーとしての活動とヨーロッパでの時間

アルトシュルはリーダーとしてもアルバムを制作していますが、1980年代半ば以降はコンサートやレコードへの参加が減り、多くの時間をヨーロッパで過ごしました。しかし、2000年代以降、彼の存在感は再び高まり、FABトリオ（ビリー・バング、ジョー・フォンダとのトリオ）や、ジョン・イラバゴン・トリオ（ベーシストはアダム・レーン）といったグループでサイドマンとして参加しました。

共演者たち

アルトシュルは、ラズウェル・ラッド、デイヴ・リーブマン、バール・フィリップス、ドニ・ルヴァイヤン、アンドリュー・ヒル、ソニー・クリス、ハンプトン・ホーズ、リー・コニッツなど、数多くの著名なミュージシャンたちと演奏やレコーディングを行ってきました。

ディスコグラフィー（一部）

『ヴァーチュオーシ』 - Virtuosi (1967年) ※ポール・ブレイ、ゲイリー・ピーコックとの共演
You Can't Name Your Own Tune (1977年)
『アナザー・タイム/アナザー・プレイス』 - Another Time/Another Place (1978年)
For Stu (1979年)
Brahma (1980年)
『ザ・ソング・オブ・シンギング』 - The Song of Singing (1971年) ※チック・コリア
『A.R.C.』 - A.R.C. (1971年) ※チック・コリア、デイヴ・ホランド
『鳩首協議』 - Conference of the Birds (1973年) ※デイヴ・ホランド

バリー・アルトシュルの音楽は、フリー・ジャズの探求心とハード・バップの伝統が見事に融合したものです。彼の革新的なドラミングは、多くのミュージシャンに影響を与え、ジャズの歴史にその名を刻んでいます。

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