バルキージョ

バルキージョ：伝統的なウエハース菓子

バルキージョ（スペイン語: Barquillo）は、スペイン、ラテンアメリカ、さらにフィリピンにおいて広く愛されているウエハース状のスイーツです。この独特な菓子は、中が空洞の円筒形や円錐形に成形され、香ばしい食感と軽やかな甘みが特徴です。

製法と特徴

バルキージョは、その製法によって多様な味わいを生み出せるのが魅力の一つです。砂糖と水の配分を調整することで、甘さや食感を変えることが可能です。一般的に水の量が多いと軽やかな印象になり、砂糖を増やすことでより濃厚な風味を楽しむことができます。職人たちが生地を木の棒に巻き付け、鉄板に押し付けて成形するスタイルが多く、どのような形状でも、格子状のレリーフが印刷されることが一般的です。

バルキージョは、本来はプレーンな味わいで楽しまれてきましたが、現代ではバニラ、シナモン、ココナッツ、レモン汁などさまざまな風味を加えたり、ミルクチョコレートでコーティングしたバリエーションも存在します。

名称の由来

「バルキージョ」という名称はスペイン語で「小舟」を意味し、ウエハースの形状に由来しています。また、中国語では「蛋卷」と呼ばれており、英語では「エッグロール」と訳されることがあります。このため、バルキージョは英語圏でもビスケットロールやエッグロールとして知られています。特にマカオでは「蛋卷」として親しまれています。

バルキージョの販売と文化

バルキージョを販売する人々は「バルキーレロ」と呼ばれ、スペインではルーレットを用いたユニークな販売スタイルが特徴です。購入時には、購入者がルーレットにお金を支払い、結果に応じてバルキージョを得るという仕組みになっています。

フィリピンのイロイロ市では、ウベ、パンダンの葉、ニンジンなど、地域特有の素材を使ったバリエーションが作られており、それぞれ明るい紫色、緑色、オレンジ色の見た目を楽しめます。ラテンアメリカでは「クバニート」という名前で親しまれ、香港ではバニラ風味のエッグロールとして製造されています。

歴史的背景

バルキージョは、もともと修道院で聖餐の供物として作られていたと伝えられていますが、時代を経る中で一般庶民のスイーツとして定着していきました。9世紀には木炭オーブンで焼かれ、教会の前で販売されるようになり、人々の日常に溶け込んでいったのです。現在現存するバルキージョの道具は1440年頃のもので、アラゴン王国の紋章が彫られていることから、当時の王宮でも使用されていた可能性が指摘されています。

スペイン帝国時代にはラテンアメリカやフィリピンにも伝わり、その後世界中に広がりました。フランコ体制下では販売が制限され、一時は衰退の危機に見舞われましたが、現在でもマドリードの祭りなどで稀に目にすることができます。

バルキージョは、その風味や独特の形状から、今なお多くの人に愛され続ける伝統的な菓子です。

もう一度検索