イロイロ

イロイロ市の概要

イロイロ市（City of Iloilo）は、フィリピンの中部ビサヤ諸島に位置する都市で、パナイ島の南岸に広がっています。イロイロ州の州都であり、地域の政治と経済の中心地として機能しています。2000年の国勢調査によると、人口は約36万5820人で、フィリピンで9番目に多い都市です。この都市の面積は56平方キロメートルで、人口密度は驚くべき6533人/km²と非常に高い数値を示しています。

歴史的背景

イロイロ市は、歴史的にフィリピンの農業の中心地として知られています。砂糖、コプラ、バナナ、マンゴーなどの輸出が盛んで、スペイン植民地時代からアメリカ支配時代にかけて多くの農産品がここから出荷されていました。13世紀には、ボルネオからやってきたダトゥたちによって街が形成され、1566年にスペインによる植民地化が始まると、イロイロの経済はさらなる発展を遂げます。

市街地の構成

市の中心部は、180のバランガイ（地域コミュニティ）から構成されており、特にアレヴァロ（Arevalo）、シティ・プロパー（City Proper）、ハロ（Jaro）、ラパス（La Paz）、マンドゥリアオ（Mandurriao）、モロ（Molo）の6つの区から成り立っています。各区は独自の文化を持ち、特にハロ区には重要な教会があります。シティ・プロパーが政治的・経済的な中心として知られ、周辺には商業施設や居住地域が広がっています。

言語と文化

イロイロ市の人々の母語はイロンゴ語（Hiligaynon）であり、教育やビジネスの場では英語も広く利用されています。また、タガログ語やキナライア語（Kinaray-a）なども話されています。イロンゴ語は、ビサヤ諸島西部で広く使用されており、約700万人がこの言語を母語としています。

教育の中心

イロイロ市は教育機関が充実しており、6つの大学があります。フィリピン大学ビサヤと西ビサヤ州立大学を含むこれらの教育機関は、地域の教育水準を高める役割を果たしています。

主な観光地

イロイロ市には、見どころが多数あります。中でもサンペドロ要塞は歴史的な建造物として知られ、モロ教会は美しいゴシック様式の建築です。また、ハロ・メトロポリタン大聖堂や、22世紀初頭に造られたイロイロ博物館など、歴史的・文化的価値の高い場所が点在しています。イロイロ繁華街史跡地区には、当時のコロニアル様式の建物が残っており、観光客に人気です。

経済発展

イロイロ市は、18世紀末まで繊維産業が盛んでしたが、19世紀の砂糖業の発展により経済はシフトしました。1855年には港が世界市場に開かれ、これにより農業と工業の発展が進みました。1890年には市制が施行され、以降も商業活動が活発化し、公共インフラも整備されました。しかし、20世紀に入ると砂糖需要の減少と港湾労働者の反乱等の影響で衰退し、人口の流出が問題となりました。戦後の復興期を経て、現在では漁港や国際商業港の整備により、経済の再生が進んでいます。

結論

イロイロ市は、その歴史、美しい文化、教育機関の充実度、そして経済的発展の可能性などが魅力的な都市です。訪れる人々に多様な体験を提供し、フィリピンの文化中心地としての地位を確立しています。

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