バルチック造船所

バルチック造船所：ロシア造船業の歴史を刻む造船所

バルチック造船所（ロシア語: Балтийский завод имени С. Орджоникидзе）は、ロシア最古の造船所の一つであり、サンクトペテルブルクのヴァシレフスキー島南西部に位置しています。現在、この造船所は統一造船会社の一部として運営されています。サンクトペテルブルクには複数の造船所がありますが、その中でもバルチック造船所はアドミラルティ造船所と並び、歴史的に重要な役割を果たしてきました。特に帝政ロシア時代には軍艦の大部分を、ソ連時代には原子力砕氷船を建造するなど、国家の重要なプロジェクトに深く関わってきました。現在では、バルチック造船所は商船の建造に特化しており、一方、アドミラルティ造船所はディーゼル潜水艦の建造を主な業務としています。

歴史

バルチック造船所の歴史は1856年に遡ります。当時、サンクトペテルブルクの商人M.カーとスコットランド人のM.L.マクファーソンによって「カー・アンド・マクファーソン造船所」として創業されました。創業初期には、1864年にウラガン級モニター2隻を建造するなど、着実に実績を重ねていきました。その後、1874年にはオクチョムスキー公に売却されました。

1934年、造船所は大きな転換期を迎えます。オランダのダミー会社であるIngenieurskantoor voor Scheepsbouwを通じて、ドイツの設計を導入したS型潜水艦の初期型3隻を建造しました。この技術導入は、後のソ連海軍の潜水艦開発に大きな影響を与えました。1936年12月30日には、ソ連政府によって造船所の名称が「セルゴ・オルジョニキーゼ名称第189工場（Zavod 189 'im. Sergo Ordzhonikidze'）」に改称されました。この名称は、ソ連の政治家セルゴ・オルジョニキーゼに由来しています。

建造した主な艦船

バルチック造船所は、創業以来、数多くの重要な艦船を建造してきました。以下にその一部を挙げます。

戦艦:
ペレスヴェート級戦艦
ボロジノ級戦艦
戦艦アンドレイ・ペルヴォズヴァーンヌィイ
ガングート級戦艦

巡洋艦:
ボロジノ級重巡洋艦
クロンシュタット級重巡洋艦
スヴェルドロフ級巡洋艦
ミサイル巡洋艦ピョートル・ヴェリーキイ

原子力砕氷船:
タイミル級原子力砕氷船
アルクティカ級砕氷船

潜水艦:
D型潜水艦
S型潜水艦（初期型）

これらの艦船は、ロシア海軍の歴史において重要な役割を果たし、バルチック造船所の技術力を示す象徴となっています。

その他の情報

バルチック造船所は、その歴史の中で何度も名称や所有者が変わってきましたが、常にロシアの造船業を支え続けてきました。また、リトアニアにも同名の「バルティア造船所」が存在しますが、こちらは別の造船所です。サンクトペテルブルクには、他にアドミラルティ造船所とセヴェルナヤ造船所も存在しており、それぞれ異なる特徴を持っています。

外部リンク

公式ウェブサイト （ロシア語）
公式ウェブサイト （英語）
Baltiysky Zavod JSC（米国科学者連盟）
Baltic Shipyard（核脅威イニシアチブ）

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