バルトロメオ・アンマナーティ

バルトロメオ・アンマナーティ（1511年6月18日 - 1592年4月13日）は、ルネサンス期からマニエリスム期にかけて活躍したイタリアの建築家であり、彫刻家です。フィレンツェ近郊のセッティニャーノで生まれ、バルトロメオ・バンディネッリとヤーコポ・サンソヴィーノという著名な芸術家に師事しました。彼の作風は、特にミケランジェロから大きな影響を受けています。

アンマナーティは、彫刻家としての才能も持っていたものの、建築家としての評価がより高いことで知られています。ローマでは、ヴィラ・ジュリア国立博物館の建築群を、ヴィニョーラやヴァザーリと共同で設計するなど、多くの建築プロジェクトに携わりました。また、ルッカやフィレンツェでも様々な建築物を手がけています。

彼の代表作の一つとして挙げられるのが、フィレンツェのピッティ宮殿の増築です。1558年から1570年にかけて、コジモ1世の妻であるエレオノーラ・ディ・トレドの命を受けて行われたこの増築は、元々の設計者であるフィリッポ・ブルネレスキの作風を踏襲しつつ、アンマナーティ独自の解釈が加えられています。この増築は、アンマナーティの建築家としての才能を世に知らしめることとなりました。

また、アンマナーティの業績として特筆すべきは、1569年にアルノ川に架けられたサンタ・トリニータ橋の建設です。この橋は、楕円形の3つのアーチで構成されており、その美しいデザインと構造的な堅牢さで知られています。当時、増水によってアルノ川に架かっていた他の橋が流される中、サンタ・トリニータ橋は難を逃れたという逸話も残っています。しかし、第二次世界大戦中の1944年に破壊され、その後1957年に再建されました。

さらに、フィレンツェのシニョーリア広場にあるネプチューンの噴水も、アンマナーティの重要な作品の一つです。この噴水は、元々はアンマナーティの師であるバンディネッリに依頼されたものでしたが、バンディネッリの死後、コンペを経てアンマナーティにその制作が託されました。彼は、ベンヴェヌート・チェッリーニなどの著名な彫刻家たちを差し置いて選ばれたのです。1563年から1565年にかけて、バンディネッリが用意していた大理石の塊を使って制作が行われ、ジャンボローニャらが弟子として参加しました。ネプチューンの顔は、当時のフィレンツェの支配者であったコジモ1世に似せて彫刻されたと言われています。

しかし、この噴水が完成した際、ミケランジェロは、アンマナーティが美しい大理石を台無しにしたと嘲ったと伝えられています。その後、アンマナーティは10年の歳月をかけてこの噴水に装飾を加え、マニエリスム様式を強調しました。ブロンズ像も後から追加されましたが、全体として統一感のある印象を与えています。この噴水は、後世の噴水制作者たちに大きな影響を与えることとなりました。

アンマナーティの彫刻作品としては、他にも、

勝利（1540年、大理石像、バルジェロ美術館所蔵）
レダと白鳥（大理石像、バルジェロ美術館所蔵）
ウェヌス像（1558-59年、ブロンズ像、プラド美術館所蔵）
パルナッソス（1563年、大理石像、バルジェロ美術館所蔵）
冬の寓意（1563-65年、石像、メディチ家のヴィラ所蔵）
女神オピ（1572-75年、ブロンズ像、ヴェッキオ宮殿所蔵）

などが挙げられます。

1550年には、詩人のラウラ・バッティフェッリと結婚しましたが、後年、対抗宗教改革の影響を受け、自身が制作した裸像を非難するようになりました。さらに、彼は自身の財産の全てをイエズス会に遺贈しました。1592年、アンマナーティはフィレンツェで生涯を閉じました。

彼の作品は、建築と彫刻の両分野において、マニエリスムの隆盛を象徴するものとして、今日でも高く評価されています。

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