ヤーコポ・サンソヴィーノ

ヤーコポ・サンソヴィーノ（Jacopo Sansovino, 1486年7月2日 - 1570年11月27日）は、イタリア・ルネサンス期を代表する建築家、彫刻家です。ヴェネツィアで主導的な役割を果たし、盛期ルネサンス建築を導入しました。彼の作品は、古典主義的な要素と装飾的な美しさを兼ね備え、ヴェネツィアの都市景観に大きな影響を与えました。

生涯

1486年、サンソヴィーノはフィレンツェで生まれました。当初は彫刻家としてアンドレア・サンソヴィーノのもとで修行を積み、本名はJacopo Tattiでしたが、師の名前を譲り受け、ヤーコポ・サンソヴィーノと改名しました。ローマでは、ラファエロやドナト・ブラマンテから知識を得て、画家ペルジーノの『十字架降下』を制作する際に使用するワックス彫像を制作しました。

1511年にフィレンツェに戻ると、サン・ロレンツォ教会のファサード装飾の依頼を受けましたが、この企画はミケランジェロに拒否されました。後にミケランジェロがこのプロジェクトを担当したため、サンソヴィーノは1518年に抗議文を書いています。1510年から1517年の間には、画家のアンドレア・デル・サルトと工房を共有し、モデルも共同で使用しました。

その後、サンソヴィーノはローマに戻り、9年間彫刻家および古代彫刻の修復家として活動しました。しかし、1527年のローマ略奪を機にヴェネツィアに逃れました。ヴェネツィアでは、サン・マルコ大聖堂のドーム修復に携わり、1529年には同大聖堂の改修監督官に任命されました。

1535年からは、パラッツォ・コルネル・デッラ・カ・グランデの建設を開始しました。この建築は、当時ゴシック様式が残っていた大運河周辺の邸宅建築に、古典主義的な手法を導入した先駆けとなりました。さらに、1537年から1554年にかけては、ベッサリオーネ枢機卿が寄贈した書籍を収蔵するための国立マルチャーナ図書館、ゼッカ（造幣局）、ヴェネツィアの鐘楼のロジェッタ（テラス）の設計と建設を行いました。これらの作品は、彫刻と建築を融合させた装飾性の高いデザインが特徴であり、サンソヴィーノの卓越した才能を示しています。

サンソヴィーノの建築は、単なる機能的な構造物ではなく、美的な要素と彫刻的な装飾を融合させ、都市景観に調和をもたらすものでした。彼の作品は、後の建築家たちに大きな影響を与え、ルネサンス建築の発展に貢献しました。

主な作品

パラッツォ・コルネル・デッラ・カ・グランデ
国立マルチャーナ図書館
ゼッカ（造幣局）
ヴェネツィアの鐘楼のロジェッタ（テラス）

関連項目

ルネサンス建築
サン・マルコ広場

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