バルボア (通貨)

パナマの通貨：バルボア

バルボア（Balboa）は、パナマ共和国の法定通貨として使用されています。通貨記号は「B/.」で表され、ISO 4217の通貨コードでは「PAB」と表記されます。この通貨の名前は、パナマを発見したとされるスペインの探検家であり、コンキスタドール（征服者）としても知られるバスコ・ヌーニェス・デ・バルボアに敬意を表して名付けられました。

構成

1バルボアは100センテシモ（centésimo）に分割されます。センテシモは、英語の「cent」やスペイン語の「centavo」に相当する単位です。

歴史と概要

バルボアは、パナマが独立した際に、それまで使用されていたコロンビア・ペソに代わって導入されました。導入以来、バルボアはアメリカ合衆国ドル（USD）との間に固定相場制を維持しており、1米ドル＝1バルボアというレートで常に交換されています。

特筆すべき点として、バルボア紙幣は発行されていません。パナマ国内で流通している紙幣はすべて米ドル紙幣であり、これらがバルボアという名称で流通・使用されています。つまり、パナマでは米ドルが事実上の紙幣として利用されています。

一方、硬貨についてはパナマ独自のものが発行されています。具体的には、1センテシモ、5センテシモ、1/10バルボア、1/4バルボア、1/2バルボア、1バルボア、そして2バルボア硬貨が存在します。ただし、1バルボアと2バルボア硬貨を除く他の硬貨は、サイズと材質が米ドルの1セント、5セント、10セント、25セント、50セント硬貨と全く同じです。これらの硬貨は、デザインのみがパナマ独自のものとなっています。

硬貨の相互利用

パナマ国内では、アメリカ合衆国で発行されたセント硬貨も、パナマで発行された硬貨と全く区別なく使用することができます。これは、両国の硬貨がサイズや材質が同一であるため、両替を必要とせず、両方の硬貨が日常的な取引で混在して使われていることを意味します。

しかし、アメリカ合衆国国内では、パナマが発行した硬貨は通貨としての効力を持ちません。つまり、アメリカではパナマの硬貨は使用できず、両替の対象にもなりません。これは、パナマの硬貨がアメリカでは外国の硬貨として扱われるためです。

このように、パナマの通貨制度は、米ドルとの固定レートや硬貨の相互利用といった点で、他の多くの国とは異なる特徴を持っています。これは、パナマの経済や歴史的背景が反映された結果と言えるでしょう。

まとめ

バルボアは、パナマの経済を支える重要な要素であり、その歴史と特徴は、パナマという国を理解する上で欠かせない要素です。米ドルと固定されたレート、そして米ドル紙幣が流通するという独特なシステムは、パナマの経済に大きな影響を与え続けています。

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