バン (鳥類)

バン（鷭）について

バン（学名：Gallinula chloropus）は、ツル目・クイナ科に所属する鳥類で、体長は約35 cmと、こちらに主に生息する鳥の中ではハト程度の大きさです。その羽毛は主に黒く、背中の部分には明るい緑色が見られることがあります。特に繁殖期には額板と呼ばれるくちばしの上にある部分が赤くなり、より鮮やかな姿を見せます。足と足指は長く、黄色いのが特徴で、幼鳥は褐色の薄い羽毛を持ち、額板も小さいです。

分布

バンはオーストラリアを除く世界中の熱帯や温帯地域に広く分布しています。主に中央アジア、沿海州、アメリカの東部などで繁殖し、冬になると温暖な地域へ移動します。日本では東日本では夏鳥として、また西日本では留鳥として見られます。そのため、地域によって何種類かの亜種に分かれています。

生態

彼らは湖や川、水田、湿地などの水辺に生息することが多く、時には公園の池でも見られます。彼らは長く伸びた足で水際や浮かんでいる水草の上を器用に歩き回ります。泳ぐこともでき、水中に潜る能力も持っているものの、足には水かきがないため、あまりしなやかではなく、尾を高く上げた状態で苦しそうに泳ぐ姿が見受けられます。また、食性は雑食性で、昆虫や甲殻類、植物の種子などさまざまなものを食べます。バンは「クルルッ」と大きな声で鳴くため、周囲に注意を促す役割も果たしており、この鳴き声が名前の由来の一つとされています。

水辺に巣を作るバンのヒナは、生まれたその日から歩くことができ、巣立つのも早いです。成鳥は1シーズンに2回の繁殖が可能で、2回目の繁殖では先に孵ったヒナが両親を手伝う姿が見られることもあります。

人との関わり

江戸時代には「三鳥二魚」と呼ばれる5大珍味の一部として人気があり、特に水戸藩からは皇室への献上品として珍重されていました。この三鳥二魚とは、鶴、雲雀、バンという三種類の鳥と、鯛とアンコウといった二種類の魚を指します。

バンはまた、狩猟鳥獣28種に含まれるべき存在で、特に三鳥の中で唯一狩猟免許所持者によって捕獲可能でしたが、近年の調査ではその個体数が減少していることが明確になりました。その結果、環境省での議論を経て2022年9月に、同じく狩猟対象鳥獣として指定されていたゴイサギとともに狩猟鳥獣の指定が解除され、不適用となりました。

種の保全状況

バンは国際自然保護連合（IUCN）により軽度懸念（LC）として評価されており、日本ではいくつかの都道府県でレッドリストに登録されています。たとえば、青森県、福島県、埼玉県、千葉県、滋賀県では準絶滅危惧（NT）として扱われ、東京都では情報不足（DD）とされています。他の地域についても注意が必要です。

バンはその生態系における役割や人との歴史的な関わりからも、保全活動が重要視されるべき存在であると言えるでしょう。

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