バンダルプンチ

バンダルプンチ山塊の魅力

バンダルプンチ（Bandarpunch）は、インドのウッタラーカンド州に属し、ガルワール・ヒマラヤ山脈の一部を成す美しい山塊です。この地域は、ヒマラヤの壮大な風景を楽しむための人気のスポットとなっています。バンダルプンチは、別名バンダルポーンチ（Bandarpoonch）とも呼ばれ、これは「猿の尻尾」を意味します。この名前は、インドの神話に登場する猿神ハヌマーンに由来しています。彼は、悪魔王ラーヴァナの軍勢からシーター姫を救うため、ラーマ王と共に戦ったことで知られています。伝説によれば、ハヌマーンは戦いの際に尻尾に火を点け、その火を山の頂上で消したと言われています。

3つの美しい峰

バンダルプンチには、3つの主要なピークがあります。最も西側にはヤムノトリの近くに位置するホワイト・ピーク（White Peak、6102 m）がそびえ立ち、その東にはバンダルポーンチ・ピーク（Bandarpoonch Peak、6316 m）、さらに北東にはカラナグ（Kalanag、6387 m）、通称ブラック・ピーク（Black Peak）があります。これらの山々はそれぞれ独自の魅力を持ち、登山者やトレッカーにとって特別な挑戦を提供しています。

自然の美と役割

バンダルプンチはヒマラヤ山脈の北西部分に位置し、サンカリ山稜の一部を形成しています。また、著名なゴビンド・パシュ・ビハール国立公園内に存在し、豊かな自然が広がる地域です。これらの山々はヤムナー川の主要な水源であり、ヤムノトリの上流、特にホワイト・ピークの下には重要な水系が広がっています。ヤムノトリは聖地としての重要性を持ち、4つの巡礼地を巡るチャールダーム巡礼の拠点の一つであり、年々多くの巡礼者が訪れる場所です。

氷河と川

この山塊は、豊かな水資源を有し、北側には長さ12kmに及ぶ氷河が広がっています。この氷河から流れ出すルインサル・ガード川は、セーマの地域でヤムナー川に合流します。また、南側ではバンダルポーンチ・ピークの麓に存在する氷河から発するハヌマーン・ガンガ川が、ハヌマーンチャッティでヤムナー川に注いでいます。これらの河川は地域の生態系に重要な役割を果たしており、多様な動植物の生息地となっています。

登頂の歴史

バンダルポーンチ・ピークの登頂は、1950年にイギリス陸軍のハロルド・ウィリアムズ少将が率いる登山隊によって実現しました。この際、登頂を果たしたのは伝説的な登山家テンジン・ノルゲイ、ロイ・グリーンウッド軍曹、シェルパのキン・チョク・ツェリングという3人であり、彼らの偉業は今も多くの人々に称賛されています。

バンダルプンチは、その美しい自然と神話に満ちた歴史を持つ魅力的な山塊です。訪れる人々は、壮大な風景と同時に、インドの豊かな文化や伝説にも触れることができます。

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