パーシー・フェイス

パーシー・フェイス：イージーリスニング界の巨匠

パーシー・フェイス（Percy Faith, 1908年4月7日 - 1976年2月9日）は、カナダ・トロント出身のアメリカ合衆国の作曲家、編曲家、指揮者、音楽プロデューサーです。イージーリスニング、ムード音楽の分野で非常に著名な人物として知られています。

生涯

1908年、8人兄弟の長男としてカナダのトロントに生まれました。幼少の頃から音楽に親しみ、ヴァイオリンとピアノを演奏していました。当初はクラシック音楽のピアニストを目指していましたが、18歳の時に妹の洋服に燃え移った火を消そうとして両手に大火傷を負い、ピアニストの道を断念せざるを得なくなりました。その後、作曲家へ転向し、編曲の技術も習得して才能を開花させていきます。

当初はトロントでホテルのオーケストラなどを指揮し、1933年にカナダ放送協会（CBC）と専属の編曲兼指揮者として契約。担当番組「ミュージック・バイ・フェイス」は7年間続くほどの人気を博しました。1940年にはアメリカに招聘され、「カーネーション・コンテンティッド・アワー」の指揮者の代役を3週間務めたところ、好評を得て契約を延長、アメリカに留まることになり、約2年後にはアメリカの市民権を取得しました。

1944年から録音作品の制作を開始し、後にデッカ・レコードのA&Rとして活動。1950年にはミッチ・ミラーに請われてコロムビア・レコードに移籍し、東部担当のミュージカルディレクターとして活躍しました。自身もムード・ミュージック・オーケストラの指揮者として1975年まで活動し、「デリカード」「ムーラン・ルージュの歌」「夏の日の恋」の3曲が全米ヒットチャートで1位を獲得。「夏の日の恋」は、マントヴァーニらのムード・ミュージックと当時の流行であったロックンロールを融合させたスタイルで演奏され、1960年には全米ヒットチャートで9週連続1位となり、グラミー賞を受賞しました。また、ミュージカルディレクターとして、トニー・ベネット、ドリス・デイ、ローズマリー・クルーニー、ジョニー・マティスらの編曲やバックオーケストラの指揮も担当しました。

日本との縁も深く、1960年に初めて日本を訪れ、国内のオーケストラを指揮・演奏しました。自身が率いるオーケストラによる来日公演は、1966年、1971年、1973年、1974年、1975年の計5回に及び、1966年の公演はNHKが総合テレビとFMラジオで放送。1974年の公演については、ライブ音源を収録したLPレコードがCBSソニー（当時）から発売されました。また、アメリカのブラスロックバンド、シカゴのジェームス・パンコウが作曲した「Mongonucleosis」は、1977年4月から1年半にわたり、フジテレビのニュース番組（『FNNニュース』や『FNNニュースレポート』シリーズ）のテーマソングとして使用されていました。

1928年にメアリーと結婚し、マリリンとピーターの二人の子供をもうけました。1976年2月9日、カリフォルニア州エンシノで癌により死去。67歳でした。遺体は同州カルバーシティのヒルサイド記念公園墓地に埋葬されています。

現在、日本ではソニー・ミュージックエンタテインメントとビクターエンタテインメントからパーシー・フェイス名義のCDが発売されていますが、ビクターから発売されているものは、パーシー・フェイスの死後に別の指揮者によって新しく録音されたもので、アーティスト名の英文表記“Percy Faith Orchestra”の前に“The”が付加されています。

代表曲

「夏の日の恋 (The Theme From "A Summer Place")」：1960年に全米チャート9週連続1位を獲得、グラミー賞受賞。
「ムーラン・ルージュの歌 (The Song From Moulin Rouge)」：1953年に全米チャート10週連続1位を記録。
「デリカード (Delicado)」：1952年に全米チャート1位を獲得。
「タラのテーマ (Tara's Theme)」：映画『風と共に去りぬ』のテーマ曲。
* 「若い恋人たちのテーマ (Theme for Young Lovers)」：パーシー・フェイス自身の作曲。

音楽の特徴と影響

パーシー・フェイスの音楽は、美しいストリングスアレンジと、親しみやすいメロディーが特徴です。イージーリスニングというジャンルを確立し、映画音楽やテレビ音楽にも大きな影響を与えました。彼の音楽は、世代を超えて多くの人々に愛され続けています。

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