バース侯爵

バース侯爵：シン家の歴史と栄光

バース侯爵は、1789年にトマス・シンが叙爵されたグレートブリテン貴族の侯爵位です。その歴史は古く、一族の邸宅であるロングリートはテューダー朝時代にまで遡ります。

シン家の起源と隆盛

ロングリートは、サー・ジョン・シンによって建設されました。彼の曾孫であるサー・ヘンリー・シンは、1641年に準男爵位を授与され、その息子サー・トマス・シンは、ウェイマス子爵とシン男爵に叙せられ貴族院議員となりました。これらの爵位には、男系子孫が絶えた場合に備え、兄弟とその子孫への特別継承権が設けられていました。

初代ウェイマス子爵は、通商及び海外プランテーション庁長官を務めました。彼には女子しかいなかったため、弟の孫であるトマス・シンが2代ウェイマス子爵位を継承しました。

バース侯爵の創設

2代ウェイマス子爵の息子トマス・シンは、政界で重要な地位を歴任し、北部・南部担当国務大臣を歴任後、1789年にバース侯爵に叙せられました。一方、初代バース侯の弟ヘンリー・シンは、カートレット家の財産を継承し、カートレット姓に改姓。カートレット男爵位を与えられました。

歴代バース侯爵

初代バース侯の死後、長男トマス・シンが2代バース侯を継承。彼はトーリー党の庶民院議員を務めていました。その後、3代バース侯ヘンリー・フレデリック・シン、4代バース侯ジョン・アレグザンダー・シンへと爵位は引き継がれました。4代侯は、外交使節やナショナル・ポートレート・ギャラリー、大英博物館の受託者を務めました。

5代バース侯トマス・ヘンリー・シンは、襲爵前に保守党の庶民院議員を務め、インド担当省政務次官を務めました。彼の長男ジョン・アレグザンダー・シンは第一次世界大戦で戦死したため、次男ヘンリー・フレデリック・シンが6代バース侯を継承。彼もまた、襲爵前に保守党の庶民院議員を務め、第二次世界大戦に従軍しました。

6代侯の死後、息子の7代バース侯アレグザンダー・ジョージ・シンが爵位を継承。彼は作家としても知られ、家名をThynnに改姓しました。2020年に新型コロナウイルス感染症により亡くなったため、息子のスーアリンが8代バース侯となりました。

現在のバース侯爵

現在の当主は、第8代バース侯爵スーアリン・ヘンリー・ラズロ・シンです。彼は、バース侯爵位に加え、ウェイマス子爵位、シン男爵位、コース城の準男爵位を保有しています。法定推定相続人は、息子のウェイマス子爵ジョン・アレクサンダー・ラディ・シンです。

バース侯爵家は、数々の爵位と広大な邸宅ロングリートを所有し、今日に至るまでイギリス社会において重要な存在であり続けています。

*参考文献
今井宏(編)『イギリス史〈2〉近世』山川出版社〈世界歴史大系〉、1990年(平成2年)。ISBN 978-4634460201。

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