バーナード・バーク

サー・ジョン・バーナード・バーク：系譜学と紋章学の権威

サー・ジョン・バーナード・バーク（1814年1月5日 – 1892年12月12日）は、19世紀のイギリスにおいて、系譜学者および紋章官として名を馳せた人物です。彼は、1853年から亡くなる1892年までアルスター上級紋章官を務めました。また、『バーク貴族・準男爵名鑑』と『バーク地主ジェントリ名鑑』の編集者としても知られています。

生涯

1814年、ジョン・バークとその妻メアリーの次男としてロンドンで生まれたバークは、幼少期をロバート・アーチボルド・アームストロングが開設した学校で過ごし、その後、ノルマンディーのカーン・コレージュで学びました。1835年にミドル・テンプルに入学し、1839年に弁護士資格を取得。貴族法や系譜学に関する案件を扱う弁護士として活動しました。

1840年からは、父の系譜学に関する著作の出版を手伝い、1848年に父が亡くなった後もその事業を継承しました。『バーク貴族・準男爵名鑑』は第9版（1847年）以降、彼が亡くなるまで毎年改訂を重ね、『バーク地主ジェントリ名鑑』も第3版（1843年、1849年）から第7版（1886年）まで編集を担当しました。1883年には『廃絶・休止爵位名鑑』の更新版も出版しています。

1853年12月にはアルスター上級紋章官に任命され、翌年には騎士爵を授与されました。紋章官としてダブリンに居を移し、1868年に王太子エドワードが聖パトリック大聖堂で聖パトリック騎士団員に叙任された際には、古風で華やかな儀式を執り行いました。

また、1853年にダブリン城記録官、1855年にはアイルランド国務文書記録官（1867年正式就任）に任命され、ダブリン城のバーミンガム・タワーにある文書の整理に尽力しました。これらの文書は長年放置された状態でしたが、バークの尽力により分類・整理され、閲覧が容易になりました。1862年には、ダブリン大学からLL.D.（法学博士）の名誉学位を授与されています。

1866年には、フランス第二帝政の公文書保存制度を調査するためにパリに派遣され、その報告書が1867年公文書（アイルランド）法成立の基盤となりました。1868年にはバス勲章コンパニオンを受章、1874年にはアイルランド国立美術館理事に就任するなど、多岐にわたる分野で活躍しました。

1892年12月12日、ダブリンの自宅で生涯を閉じ、ウェストランド・ローにあるセント・アンドルー教会に埋葬されました。彼の死後、四男のアシュワース・ピーター・バークが家業を継ぎ、『バーク貴族・準男爵名鑑』と『バーク地主ジェントリ名鑑』の編集を引き継ぎました。

人物と評価

バークは、私生活では親切で素直、そして上品な人物として知られていました。しかし、彼が編集した『バーク貴族名鑑』と『バーク地主ジェントリ名鑑』は、詳細な内容である一方、同時代の学者からは正確性を批判されることもありました。紋章官のジョージ・バーネットは、バーク貴族名鑑の不正確さを指摘し、バーク地主ジェントリ名鑑の系譜を「まったく無価値」と酷評しました。歴史学者のエドワード・オーガスタス・フリーマンも、バークが掲載した一部の家系の起源について、その不合理さを指摘しています。

系譜学者のJ・ホレス・ラウンドは、バークが疑わしい系図を無批判に名鑑に追加し、家族史における不名誉な事実を省略したことを批判しました。バークの名鑑が信用を回復するのは、息子のヘンリー・ファーナム・バークの代になってからのことでした。

著作

The Roll of Battle Abbey（1848年）
Historic Lands of England（1848年）
Anecdotes of the Aristocracy（1849年 – 1850年初版）
The Romance of the Aristocracy（1855年）
Visitation of Seats and Arms（1852年 – 1854年）
Family Romance（1853年初版、1860年第3版）
The Book of the Orders of Knighthood（1858年）
Vicissitudes of Families（1859年初版、1859年第3版、1861年第5版）
The Rise of Great Families（1873年、1882年）
The sovereigns of England from the Norman conquest（1876年）
The Book of Precedence（1881年）
Genealogical and Heraldic History of the Colonial Gentry（1892年）

家族

1856年1月8日、バーバラ・フランシス・マケヴォイと結婚し、7男1女をもうけました。息子たちは紋章官になったり、名鑑の編集者になったりしました。

サー・ジョン・バーナード・バークは、その功績と批判の両面において、イギリスの系譜学と紋章学の歴史に名を刻む人物と言えるでしょう。

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