パイパロープ・ゴーキャットジム

パイパロープ・ゴーキャットジム



パイパロープ・ゴーキャットジム（泰: ไผ่ผารบ ก่อเกียรติยิม、英: Paipharob Kokietgym）は、タイ出身の元プロボクサーである。1983年5月5日にチャイヤプーム県で生まれた。主な実績として、WBA世界ミニマム級の暫定王座に就いた経験を持ち、さらにパンアジアボクシング協会（PABA）においては、フライ級、ライトフライ級、ミニマム級の三つの階級で頂点に立った。そのキャリアは、長期間のブランクや不祥事による世界王座からの転落といった大きな困難を経験しながらも、その度にリングへ戻り、新たな栄光を追い求めた粘り強さによって特徴づけられる。

来歴



プロボクサーとしてのキャリアは、2002年8月7日に始まった。デビュー戦で6回判定による勝利を飾ったものの、その後は約7年間にわたりリングから遠ざかることとなった。本格的に活動を再開したのは2009年。同年10月9日、PABAフライ級タイトルマッチで王者レイ・ミグレノと対戦し、4ラウンドでのKO勝利によって王座を獲得した。この勝利を機に、彼のパンチ力が高く評価されるようになり、ノックアウトでの決着が増加した。

フライ級での成功を経て、パイパロープは階級をライトフライ級に下げた。2009年12月25日、ドニー・マバオとのPABAライトフライ級暫定王座決定戦に出場し、5回KOで勝利。これにより、PABAでの2階級制覇を達成した。その後、正規王座が空位となったため、2010年6月9日に正規王者として認定された。PABA王座と並行して、2010年6月13日にはWBOアジア太平洋ライトフライ級王座決定戦でライアン・マリテックと対戦し、わずか2ラウンド1分30秒でのTKO勝ちを収め、こちらもタイトルを手にした。PABAライトフライ級王座は複数回防衛し、WBOアジア太平洋王座も一度防衛した後、2010年11月にPABA、2011年2月にWBOアジア太平洋の各ライトフライ級王座を返上した。

さらに階級を下げミニマム級へ転向。2010年11月14日、PABAミニマム級王座決定戦でドミ・ネノケバ（インドネシア）と対戦し、初回1分19秒KO勝利を収め、PABA王座の3階級制覇という快挙を成し遂げた。ミニマム級でもPABA王座の防衛を重ねた。

2011年9月16日にはジャック・アミサを相手にPABAミニマム級王座の6度目の防衛に成功するなど、安定した強さを見せた。

世界王座獲得と失墜



2011年11月7日、パイパロープはキャリアにおいて最も重要な一戦となるWBA世界ミニマム級暫定王座決定戦に挑んだ。対戦相手はヘスス・シルベストレ。試合は、前半はパイパロープがリードするものの、後半はシルベストレが追い上げるという白熱した展開となった。結果は12回判定にもつれ込み、3-0のユナニマス判定で勝利。暫定ながら世界王者の座に就いた。しかし、急激な減量によるスタミナ不足が指摘されるなど、減量苦の影響が懸念された。

この世界王座獲得からわずか数ヶ月後の2012年1月7日、パイパロープは覚醒剤所持の容疑で逮捕されるという衝撃的な事件を起こした。この不祥事を受けて、同年5月10日、WBA世界ミニマム級暫定王座は剥奪され、同時にWBAの世界ランキングからも除外された。

再起と挑戦



世界王座を失い、キャリアの危機に直面したものの、パイパロープは諦めなかった。2012年9月13日、リングに復帰し、ABCOコンチネンタルフライ級王座決定戦で勝利を収めタイトルを獲得した。同年11月26日にはABCOライトフライ級暫定王座決定戦でも勝利し、再び二つの地域タイトルを保持することになった。しかし、再び試合間隔が空き、2013年11月7日にはWBAの世界ランキングから降格処分を受けるなど、キャリアは安定しなかった。

それでも彼のリングへの執着は強く、2014年5月8日、WBOオリエンタルライトフライ級王座決定戦でジェイアー・エストレモスに4回TKO勝利し、王座を手にした。このタイトルは複数回防衛した。さらに同年9月12日には、空位となっていたPABAライトフライ級王座の決定戦に出場し、判定で勝利。約4年ぶりにPABAライトフライ級王者として返り咲きを果たした。この王座も複数回防衛し、キャリア後半においても再び主要な地域タイトル戦線で活躍を見せた。

キャリアの終盤



2016年2月26日、WBOオリエンタルライトフライ級王座の防衛戦でジェシー・エスピナスと対戦。この試合でキャリア初の黒星となる8回TKO負けを喫し、王座から陥落した。その後もリングに上がり続け、2023年10月13日には、キャリアで初めてタイ国外での試合となる日本の後楽園ホールでの一戦に臨んだ。大湾硫斗を相手にした試合は、相手の減量超過があったものの実施されたが、4回TKOで敗れた。

獲得タイトル



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