パキスタン・ターリバーン運動

パキスタン・ターリバーン運動（TTP）とは

パキスタン・ターリバーン運動（TTP）は、イスラム主義の武装組織であり、主にパキスタンの連邦直轄部族地域（FATA）に拠点を置いています。特に南ワズィーリスターンを中心に、カイバル・パクトゥンクワ州などアフガニスタン国境地帯での活動が顕著です。TTPは「パキスタン学生運動」を意味し、多くの武装集団を傘下に持ち、推定で35,000人の兵力を抱えています。また、日本のメディアでは「タリバン」や「タリバーン」と呼ばれることが多く、これによって「パキスタン・タリバン（タリバーン）運動」としても知られています。

組織の背景

TTPは2007年に設立され、パキスタン国内のいくつかのターリバーン系組織が統合して誕生しました。最高指導者にはバイトゥッラー・マフスードが選ばれ、シャリーアに基づくイスラム国家の設立を目指しています。TTPはパキスタン政府の打倒を掲げており、その目的から政府に対して武力行使を行っています。

TTPはアフガニスタンのターリバーンとは異なる組織であり、イラクやアルカーイダとの直接的な関係はありませんが、アメリカの「影響」を受けて活動しています。2008年や2009年にはムハンマド・オマルからの要請を受け、アフガニスタンでの反米活動への支援を進めたことで、後に侵攻などの形で国際的な注目を浴びることになりました。

歴史と重要な出来事

TTPの起源は、アフガニスタン紛争によって引き起こされたパキスタン軍の掃討作戦にさかのぼります。2002年、政府が非パキスタン人の武装勢力を排除するために行った施策が影響を与え、武装勢力は徐々に反政府活動に転じました。特に2006年のアメリカの攻撃以降、TTPは活動を本格化させます。

2007年、TTPが正式に発表されるとアフガニスタン政府と協力し、反米運動を展開しました。2009年には、TTPの幹部であるバイトゥッラー・マフスードが米軍の攻撃で死亡し、その後、権力の争いが起こりますが、彼の弟が後継者となり、さらなるテロ活動が活発化しました。

2012年のマララ・ユサフザイへの攻撃は、国内外で大きな非難を呼び、TTPに対する国際的な理解も一変しました。この事件を契機に、パキスタン政府はそれまでにない強硬策を開始し、テロ活動への取り締まりを強化しました。

2014年に入ると、TTPは重要なテロ攻撃を数件発生させ、特に子供を対象とした学校襲撃は国内外に大きな衝撃を与えました。TTPはしばしばターリバーンやISILとの連携を図りながら、国際社会との関係を構築もしくは断絶する動きを見せました。

近年の動き

2021年以降、TTPの動きは特に注目を集めています。アフガニスタンにおけるターリバーンの再興に伴い、過去の指導者たちが再編成されたり、新たに他の過激派組織との連携を強化するなどの変化が見られます。自爆テロや襲撃は継続して発生しており、特に宗教的マイノリティや外国人を対象とする事件は国際的な緊張を高めています。

最近でも、TTPは攻撃を行い、パキスタン国内での拿捕や大学・市街地での爆破事件が続いています。その活動は今後も続く可能性が高く、地域や国際社会への影響を鑑みると注視が必要です。

まとめ

パキスタン・ターリバーン運動（TTP）は、強大な武装組織として存在し続け、国内外でのテロ活動を通じて、その影響力を拡大しています。取り締まりや対策を行いつつも、その方法は依然として効果的とは言えず、さらなる活動が懸念される状況です。

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