カイバル・パクトゥンクワ州

カイバル・パクトゥンクワ州について

カイバル・パクトゥンクワ州は、パキスタンの北西部に位置する州で、アフガニスタンと国境を接しています。かつては北西辺境州として知られていましたが、2010年に現在の名称に変更されました。2018年には連邦直轄部族地域を編入し、領域を拡大しています。州都はペシャーワルです。

歴史

この地域は古くから文明の交差点として栄えてきました。古代にはガンダーラ文化が栄え、ペシャーワルなどがその中心都市でした。19世紀にはイギリスの支配下に入り、1901年に北西辺境州が設置されました。1947年にパキスタンが独立すると、その一部となり、2010年にカイバル・パクトゥンクワ州に改名されました。また、2018年には連邦直轄部族地域を編入し、現在の州の形となっています。

歴史の中で、この地域は様々な紛争に巻き込まれてきました。19世紀にはチトラル遠征やマラカンド包囲戦、20世紀後半にはアフガニスタン紛争、そして近年ではワジリスタン紛争など、多くの戦いが繰り広げられてきました。2024年にもクラム地区で宗派間の対立が発生し、多数の死傷者が出ています。

地理

カイバル・パクトゥンクワ州は、イラン高原に位置しており、ヒンドゥークシュ山脈が南アジアへと傾斜していく地形が特徴です。そのため、カイバル峠は古くから南アジアと中央ユーラシアを結ぶ重要な交通路となってきました。州の南部は乾燥した岩山が多く、夏は非常に高温になります。一方、北部には森林地帯が広がり、夏は過ごしやすく、冬は積雪が見られます。特にスワート渓谷は美しい自然で知られ、多くの観光客が訪れます。

気候

乾燥した気候が特徴ですが、春先にはまとまった雨が降ります。この雨が原因で、土砂災害や水害が発生し、多数の死者が出ることもあります。

行政区画

カイバル・パクトゥンクワ州は、7つの管区に分かれています。さらに、各管区は36の県に分かれており、行政が行われています。2018年の連邦直轄部族地域との統合によって、行政区画が大きく変化しました。いくつかの県が分割されたり、新たに設置されたりしています。

管区
バンヌ管区
デラ・イスマイル・カーン管区
ハザラ管区
コハト管区
マラカンド管区
マルダーン管区
ペシャーワル管区

主な県
アボッターバード県
バージャウル県
バンヌ県
バッタグラム県
ブネール県
チャルサッダ県
デラ・イスマイル・カーン県
ハングー県
ハリプール県
カラク県
カイバル県
コハト県
コライ＝パラス県
クッラム県
ラッキ・マルワト県
下チトラル県
下ディール県
下コヒースタン県
下南ワジリスタン県
マラカンド県
マンセフラ県
マルダーン県
ムフマンド県
北ワジリスタン県
ノウシェラ県
オーラクザイ県
ペシャーワル県
シャングラ県
スワビ県
スワート県
タンク県
トルガール県
上チトラル県
上ディール県
上コヒースタン県
上南ワジリスタン県

主な都市

州内には、アボッターバード、バンヌ、ペシャーワルなどの主要都市があります。これらの都市は、経済、文化の中心地として機能しています。その他にも、チャルサッダ、チトラル、デライスマイルカーンなどの都市が重要な役割を果たしています。


[アボッターバード]
バンヌ(Bannu)
バッタグラム(Battagram)
ダガー(Daggar)
チャルサッダ(Charsadda)
チトラル(Chitral)
デライスマイルカーン(Dera Ismail Khan)
ディール(Dir)
ジャムルード(Jamrud)
ハングー(Hangu)
ハリプール(Haripur)
ハーヴェイリヨン(Havelian)
フント
カラーム(Kalam)
コハト(Kohat)
クラチ(Kulachi)
(Latamber)
ランディ・コタール(Landi Kotal)
マラカンド(Malakand)
マンセフラ(Mansehra)
マルダーン(Mardan)
マストゥージ(Mastuj)
ミンゴラ(Mingora)
ノウシェラ(Nowshera)
[ペシャーワル]
サイドゥ・シャリフ(Saidu Sharif)
シャングラ(Shangla)
スワビ(Swabi)
スワート(Swat)
(Tank)
ティメルガラ(Timergara)

住民

住民の多くはパシュトゥーン人です。その他に、チトラル人、ダルド人、ラージプート、カシミール人、サライキ人などが居住しています。言語は、パシュトー語が最も多く話されていますが、サライキ語、パンジャーブ語、ウルドゥー語なども使われています。また、地域によってコワール語やコーヒスターン語なども話されています。

宗教

住民のほとんどがイスラム教徒です。スンニ派が多くを占めますが、シーア派も存在します。近年では宗派間の対立が深刻化し、紛争の原因となっています。

観光

カイバル・パクトゥンクワ州には、美しい自然が残る観光地が数多くあります。特にスワート渓谷は「パキスタンのスイス」とも呼ばれ、多くの観光客が訪れます。また、古代ガンダーラの遺跡も重要な観光資源となっています。

関連項目

カシミール
en:Butkara Stupa（スワート県）
パシュトゥーニスタン（独立主張のある地域）

外部リンク

Government of Khyber Pakhtunkhwa - 州政府公式サイト

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