パクタ・コンヴェンタ

パクタ・コンヴェンタについて

パクタ・コンヴェンタ（ラテン語: Pacta conventa）は、「協定条項」という意味を持ち、1573年から1764年までの間にポーランド・リトアニア共和国のシュラフタ（貴族階級）や、国王自由選挙で選出された国王に課された重要な協約です。この文書はポーランド・リトアニア共和国における国家体制の根本を成すものであり、国王に対してその権限と責任を明文化したものです。

この協定は、ジグムント2世の死によってヤギェウォ朝が終焉し、選挙王制が導入された経緯により、1573年にセイム（議会）で制定されました。パクタ・コンヴェンタは新たに選出される国王に、国の法律に従うことを誓わせるものであり、外交政策、税制の改革、国債の発行、軍事行動に至るまで、王の権限を厳格に定義していました。

具体的には、各国王ごとにこの協定の内容には一定の柔軟性があり、例えばヴワディスワフ4世の場合、彼はパクタ・コンヴェンタの一環としてポーランド・リトアニア共和国海軍をバルト海に創設することを約束しました。このように、パクタ・コンヴェンタは個々の国王の政策や目標に応じてカスタマイズされることが可能でした。

さらに、選出された国王はパクタ・コンヴェンタに加えて、ヘンリク条項（Henricus Articles）と呼ばれる誓約集にも署名する義務がありました。このヘンリク条項は、改訂が不可な永続法として位置づけられており、国の法律や政務に対する国王の義務をさらに規定するものでした。初期の段階ではパクタ・コンヴェンタとヘンリク条項の内容は明確に区別されていましたが、時間の経過とともにその境界は次第に曖昧になっていきました。

これら二つの文書の内容は、ポーランド・リトアニア共和国における政治体制を深く理解する上で重要な手がかりとなり、当該時代の権力構造や国王の政治的権限を探究するための貴重な資源です。パクタ・コンヴェンタとヘンリク条項は、国王及び貴族の関係を明確にし、政権のもたらす変化や安定の要因を考察する上で欠かせない資料となっています。

このように、パクタ・コンヴェンタはポーランド・リトアニア共和国における権力のあり方や法の支配に深い影響を与えた文書であり、現在でも歴史学的な研究対象として価値が高い存在となっています。

参考文献

• - Juliusz Bardach, Bogusław Leśnodorski, Michał Pietrzak, "Historia państwa i prawa polskiego" (History of the Polish State and Law), Warszawa, Państwowe Wydawnictwo Naukowe, 1987, pp. 216–217.
• - Corwin, Edward Henry Lewinski (1917) "The political History of Poland", Polish Book Importing Company, New York, page 195, OCLC 626738.
• - Jacek Jędruch (1998). "Constitutions, elections, and legislatures of Poland, 1493–1977: a guide to their history". EJJ Books. p. 74. ISBN 978-0-7818-0637-4.

関連項目

• - 国王自由選挙
• - ワルシャワ連盟協約

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