パジャドール

パジャドール（Payador）とは

パジャドールは、19世紀後半頃にアルゼンチン、ウルグアイ、ブラジルで活躍した歌手であり、自らギターを演奏しながら歌いました。その音楽は「パジャーダ（Payada）」と呼ばれています。チリではパジャーダを「パジャ」と呼び、演者はウアッソです。

概要

19世紀前半、アルゼンチン、ウルグアイ、ブラジルなどの牧畜に従事するガウチョや地域住民の間で、ギターと歌が得意な人々が即興で作った歌「パジャード（Payado）」を、大衆の前で披露することが流行しました。19世紀後半には、パジャドールは文化として定着し、歌われる内容は人生の喜びや悲しみなど多岐にわたりました。「吟遊詩人」と訳されることもあります。

コントラプント

コントラプント（Contrapunto）と呼ばれる、二人のパジャドールが四行詩の歌を作り、その即興性や技巧を競い合う歌合戦も頻繁に行われました。このコントラプントは、パジャドールの重要な要素の一つでした。

マルティン・フィエロとパジャドール

ホセ・エルナンデスの叙事詩『マルティン・フィエロ』（Martín Fierro）の主人公はパジャドールという設定であり、パジャドールという存在が当時の人々に深く根付いていたことを示しています。また、タンゴ歌手として有名なカルロス・ガルデルも、16歳頃にパジャドールからギターと歌を学んだとされています。

20世紀以降のパジャドール

20世紀に入ると、フォルクローレの商業化が進み、パジャドールからフォルクローレ歌手に転身し、レコード録音を行う人も現れました。パジャドール文化は徐々に伝説として語り継がれるようになり、現在でもパジャドールを自称して活動する歌手も存在します。

著名なパジャドール

バルトロメ・イダルゴ (Bartolomé Hidalgo)
ガビノ・エセイサ (Gabino Ezeiza)
イヒニオ・カソン (Higinio Cazón)
ホセ・ベティノッティ (José Betinotti)



パジャドールは、単なる歌手というだけでなく、当時の社会や文化を反映した存在であり、その音楽は人々の心に深く響きました。現在でも、その伝統は受け継がれ、新たな形で表現されています。

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