パスタ・フローラ

パスタ・フローラは、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイなど南米地域やギリシャで親しまれている、家庭的な焼き菓子です。その名前は、イタリア語でショートニングを使った生地を意味する言葉に由来し、イタリアの伝統的な焼き菓子であるクロスタータとよく似ています。

特徴

パスタ・フローラの最大の特徴は、ショートニングを使った厚めの生地と、その中にたっぷりと詰められたジャムです。主な材料は、小麦粉、砂糖、卵、バター（またはマーガリン）、ジャム、レモンの皮、バニラエッセンスと、家庭にあるようなシンプルなものばかりです。ジャムの種類は多岐にわたり、マルメロジャム、サツマイモジャム、ドゥルセ・デ・レチェ（練乳クリーム）、グアバジャム、イチゴジャムなど、様々な味が楽しめます。

通常は丸い形に成形され、オーブンで焼き上げられます。焼きあがったパスタ・フローラは、表面の格子模様が美しく、見た目にも食欲をそそります。

歴史と背景

パスタ・フローラは、イタリアから南米に伝わったと考えられています。19世紀から20世紀にかけて、多くのイタリア人が南米に移住し、その際に故郷の味であるパスタ・フローラも一緒に持ち込まれました。南米の人々は、この素朴で美味しいお菓子をすぐに受け入れ、各家庭で独自のレシピが作られるようになりました。現在では、南米のカフェやパン屋で定番のお菓子として親しまれています。

パスタ・フローラは、そのルーツをたどると、オーストリアのリンツァートルテや、スパイスで風味付けした果物を詰めたスイス風タルトなど、ヨーロッパ各地の伝統的な焼き菓子とも共通点が見られます。これらの焼き菓子も、パスタ・フローラと同様に、素朴で温かみのある味わいが特徴です。

食べ方

南米では、パスタ・フローラは午後のデザート（メリエンダ）としてよく食べられています。また、南米で人気の飲み物であるマテ茶と一緒に楽しむことも多く、家族や友人とのお茶の時間に欠かせない存在です。もちろん、一日のどの時間帯でも美味しく食べることができます。

パスタ・フローラは、家庭で作られることも多く、そのレシピは各家庭によって少しずつ異なります。ジャムの種類を変えたり、生地に香辛料を加えたりすることで、様々なバリエーションを楽しむことができます。ぜひ、ご自身の好みに合わせたパスタ・フローラを作ってみてください。

パスタ・フローラは、その素朴な味わいと、各家庭で受け継がれる温かさが魅力です。南米を訪れた際には、ぜひ本場のパスタ・フローラを味わってみてください。

もう一度検索