パチーシ

インドの伝統ゲーム、パチーシ：歴史、ルール、そして世界への広がり

パチーシは、インドで親しまれる国民的なボードゲームです。4人が2チームに分かれ、サイコロ（伝統的にはタカラガイ）を使って駒を進め、先にすべての駒をゴールに到達させたチームが勝利する、すごろくのようなゲーム性を持っています。ヒンディー語で「25」を意味する言葉に由来し、これはタカラガイを使った際の最大の出目数にちなむといわれています。

ゲームの道具と盤面

パチーシの盤は、中央の立方体から四方に伸びる十字型が特徴です。各辺には8マス×3列のスペースがあり、12個のマスは安全地帯として特別に印されています。プレイヤーは十字の各端に、パートナーと向かい合うように座ります。各プレイヤーは4つの駒を持ち、チームごとに異なる色で区別されます。伝統的なパチーシでは、6個のタカラガイをサイコロの代わりに使用します。タカラガイの表の出た数によって駒を進めるマス数が決まり、すべて裏の場合は25、1つだけ表の場合は10と解釈されます。

ルールとゲームの流れ

プレイヤーは反時計回りに順番を交代し、タカラガイを振って出た目に従って駒を進めます。出目が気に入らなければパスも可能です。6、10、25の出目が出た場合は、通常通り駒を進めた後、もう一度振る機会が与えられます。駒は中央の立方体から出発し、まず自分の側の列を進み、端まで到達したら十字の縁に沿って反時計回りに一周します。一周後、中央の列を戻って中央の立方体に戻るとゴールとなります。ゴールにはぴったりな出目が必要になります。

駒を進める際に、敵の駒がいるマス（安全地帯を除く）に止まると、敵の駒を取ることができます。取られた駒は、スタート地点からやり直しとなります。敵の駒を取った場合、もう一度振る権利を得ます。味方の駒が同じマスに複数いる場合、まとめて動かすことができます。先にすべての駒をゴールに到達させたチームが勝者となります。ルールにはいくつかのバリエーションがあり、特に6、10、25の出目が出た場合の処理については、異なる解釈が存在します。

パチーシに似たゲーム：チョーパル

チョーパル（またはチョーサル）は、パチーシと非常に似たゲームです。同じ盤面を使用しますが、サイコロは四面の棒状サイコロを3個使用し、各面に1、2、5、6の目が描かれています。チョーパルでは、パチーシとは異なり、ゲーム開始時に駒が既に盤上に配置されており、安全地帯もありません。また、パスはできません。各サイコロの出目に従って、それぞれ別の駒を動かすことも可能です。西洋の文献ではパチーシと混同されることもありますが、チョーパルはパチーシよりも複雑で、より高級なゲームと見なされていたようです。

パチーシを起源とする西洋のゲーム

19世紀以降、パチーシを元にした多くの市販ゲームが西洋諸国で販売されています。これらのゲームは、一般的にルールが簡略化され、子供向けにアレンジされています。代表的な例として、パーチージ、ルドー、そしてソーリーなどが挙げられます。パーチージは、チーム戦ではなく個人戦で行われ、通常サイコロを2個使用します。ルドーは、盤面の形はパチーシに似ていますが、マスの数が異なり、チームを組まず、1個のサイコロを使用します。ソーリーは、カードを使用するなど、パチーシから大きくルールが変更されています。

パチーシの世界への影響

パチーシは、インドの伝統ゲームとしてだけでなく、世界中で様々なゲームに影響を与え、多様なバリエーションを生み出しました。そのシンプルなルールと奥深い戦略性は、人々を魅了し続け、現代でも世界中で楽しまれ続けています。ゲームを通じて、インドの文化に触れ、その魅力を再発見することができます。

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