パック (ファミスタ)

パック (PAC)

パック（PAC）は、バンダイナムコゲームスが手掛ける野球ゲーム、特に『ファミスタシリーズ』や『球界道中記』、『プロ野球 熱スタ2007』といった作品に登場する、ゲームオリジナルの野球選手であり、時には監督としても活躍するキャラクターです。

その名称と姿は、同じくバンダイナムコゲームスの看板キャラクターである「パックマン」をモデルとしています。ゲーム作品によって登録名にはいくつかのバリエーションがあり、「は゜つく」「ぱつく」「PAC」「ぱっくまん」「ぱっく」「パック」「パックマン」といった名前で登場しています。

選手としての経歴

家庭用ゲーム機向けの作品においては、一貫してナムコスターズの主砲としてラインナップに名を連ねています。強打者としての能力が際立ち、チームの四番打者の座を譲ることはありませんでした。守備位置は主に三塁手でしたが、『スーパーファミスタ5』では監督を兼任するとともに、一塁手としての出場も見られるようになりました。PlayStation版の『ワールドスタジアム』シリーズでは、一塁手や外野手としての守備適性が設定され、『プロ野球ファミスタオンライン』では三塁を本職としつつ、一塁も守れる選手として描かれています。

打撃成績は非常に優秀で、多くのシーズンで打率が3割を超え、本塁打も20本以上の記録を残しています。特に『スーパーファミスタ5』（1995年3月発売）における成績は、当時の日本のプロ野球リーグに照らし合わせても、首位打者や本塁打王といった主要な打撃タイトルを獲得できる水準に達していました。

家庭用ゲーム機版作品全体を通して、実在・架空の選手を含め、唯一すべての作品でスタメン四番として出場を果たしている特異な存在です。同じくナムコスターズの看板選手であるピノでさえ、シリーズ初期の『'86年度版』では代打での登場経験があり、またMSX2版にはパック自体が登場しないなど、パックの連続スタメン・四番出場記録は非常にユニークなものです。

これに対し、アーケード版である『SUPERワールドスタジアム』シリーズでは、そのキャリアは家庭用とは異なる変遷をたどります。初登場の'98年版では家庭用と同様に四番打者でしたが、守備位置は捕手でした。しかし、1999年版では、ゲームの枠を超えたキャラクターである三島平八に四番の座を譲り、投手へとコンバートされます。そして2000年版と2001年版では、選手としての出場はなく、監督業に専念する形となりました。

エピソード

パックにはいくつかの興味深いエピソードがあります。

『ファミスタ64』では、選手の誕生日や出身地といった詳細なプロフィールが設定され、8月18日生まれの北海道出身とされました。さらに、当時の攻略本には1967年生まれである旨が追記されており、この生年月日は奇しくもプロ野球選手の清原和博氏と完全に一致するものです。清原氏は2008年に現役を引退するまで、家庭用ファミスタシリーズで唯一全作品に出場した実在選手であり、ここでもパックとの浅からぬ縁が見られます。

ナムコスターズの監督として登場するマサヤ監督は、当時のナムコ社長であった中村雅哉氏（1925年12月24日生まれ、東京都出身）がモデルとされています。ナムコ関連の出版物である「ナムコスポーツ」に掲載されたマサヤ監督の似顔絵がパックマンの姿で描かれていたり、『ファミスタ64』で選手として登場する際のマサヤの能力データが、パックのデータと能力値に違いがある以外はほぼ同じであるなど、パックとマサヤ監督の間にも関連性が示唆されています。

* ニューヨーク・ヤンキースに所属していた松井秀喜氏が、2007年に当時の監督ジョー・トーリ氏から「パックマン」というニックネームをつけられたという話があります。これはパックマンがゲーム中に「ドット」を食べていくイメージから、「ヒットを打ってランナーを進めたり、得点を稼ぐ」という意味合いで名付けられたものです。ゲームのパックもチームの主砲として多くの得点に絡む選手ですが、松井氏のニックネームとの間に直接的な関連性がある可能性は低いと考えられています。

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