パトモス島

パトモス島は、トルコ沿岸に近いエーゲ海に位置するギリシャ領の小島です。ドデカネス諸島の最北端にあり、サモス島の南約35kmに位置します。

この島は、「ヨハネの黙示録」の著者である使徒ヨハネが、イエス・キリストから啓示を受けたとされる場所として、世界的に知られています。島内には、ヨハネが啓示を受けたとされる洞窟が残されており、その上には神学者聖ヨハネ修道院がそびえ立っています。修道院とそれを囲む旧市街ホーラは、ユネスコの世界遺産「神学者聖ヨハネ修道院と黙示録の洞窟を含むパトモス島の歴史地区 (ホーラ)」として登録されています。

島の面積は約34.6平方キロメートルで、2022年の国勢調査によると人口は約3,283人です。島の中心となるのは、丘の上に位置するホーラですが、現在では港町のスカラの方が規模が大きくなっています。

歴史

パトモス島は、ローマ帝国時代には流刑地として使用され、西暦95年には使徒ヨハネがドミティアヌス帝によってこの島に流刑に処されたと伝えられています。ヨハネは島でイエス・キリストからの啓示を受け、「ヨハネの黙示録」を執筆したとされています。ただし、この点については歴史的な議論も存在します。

その後、しばらくの間、人が住まない時期がありましたが、1080年に東ローマ帝国のコムネノス王朝のアレクシオス1世が、正教会のクリストドゥーロスにパトモス島を下賜したことで、島の状況は大きく変化しました。

1088年には、丘の上に存在した古代のアルテミス神殿の跡地に、神学者聖ヨハネ修道院が建設されました。1138年には、修道院は城壁の周囲に住民が居住することを許可し、これが現在のホーラの起源となりました。ホーラは、外敵の侵入に備えて要塞化され、独特の景観を形成していきました。

1207年には、ヴェネツィア共和国の支配下に入り、1537年にはオスマン帝国の領土となりました。オスマン帝国による支配は、1912年まで続きました。

パトモス島は、その精神的な重要性と美しい景観から、多くの観光客が訪れる人気の観光地となっています。歴史的な建造物や宗教的な場所を巡るだけでなく、エーゲ海の美しい自然を満喫できる魅力的な島です。

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