パトリア (フィンランドの企業)

パトリアの概要と歴史

1. 概要

パトリア・オージ（Patria Oyj）は、フィンランドのヘルシンキに拠点を置く防衛および航空宇宙関連の企業です。その起源は1921年に設立された航空機工場にさかのぼり、1997年の防衛産業の再編によって現在の形が確立されました。パトリアは、自社製の兵器システムの開発・製造を行い、またBAeホークやF/A-18などの航空機部品をライセンス生産するほか、装備品の保守とパイロットの訓練サービスを提供するなど、幅広い防衛関連サービスを手掛けています。企業の株式の50.1%はフィンランド政府が保有しており、残りの49.9%はノルウェーのコングスベルグ・ディフェンス＆エアロスペースが所有しています。

2. 歴史

パトリアの歴史は、1997年にVammas、Lapua、Sisu Defence、Vihtavuori、Finavitecが合併して誕生した企業に基づいています。その後の主な出来事を以下に示します。

• - 1998年: ノルウェーのRaufoss、西側のPatria、スウェーデンのCelsiusが共同出資で弾薬とミサイルの製造会社であるNammoを設立。
• - 1999年: スウェーデンのOstermans Aero ABを買収。
• - 2001年: ヨーロッパの航空防衛大手EADSが株式の26.8%を取得。
• - 2003年: Pilot Factoryの株式50%を取得し、民間パイロット育成事業に進出。
• - 2004年: Pilot Factoryの株式を100%取得。
• - 2005年: フィンランド空軍の初等訓練業務を受託。
• - 2006年: 装備品の保守・整備を行うMillogを設立。
• - 2014年: 宇宙部門をスイスのRUAGに売却。
• - 2016年: フィンランド政府がコングスベルグに49.9%株式を売却。
• - 2017年: エストニアのMilrem LCM社の60%株式を取得。
• - 2019年: ベルギーのBelgium Engine Centerを取得。
• - 2021年: 日本法人としてPatria Japanを設立。
• - 2022年: オランダのNEDAEROの100%株式を取得。

3. 主な製品

パトリアが手掛ける主な製品には次のようなものがあります。これには、装甲兵員輸送車、火砲、航空機部品などが含まれます。

装甲兵員輸送車

• - パトリアAMV
• - パトリア6x6
• - XA-180（シスオート傘下のシスディフェンス）

火砲

• - NEMO
• - AMOS
• - K98 155mm榴弾砲

航空機部品

• - F-35 ライトニングII
• - ボーイング787
• - エアバスA320, A380, A400M
• - エンブラエルERJ145, サーブ340, サーブ2000
• - NH90

4. 不祥事

パトリアは過去にいくつかの不祥事に巻き込まれました。スロベニアがNATOに加盟後、2006年にパトリアAMV135両の輸入を決定しましたが、2008年における契約に関連する贈収賄疑惑が報じられました。この件ではスロベニアの首相や国防省の高官が関与しているとされ、パトリア本社に強制捜査が入り、多数の社員が逮捕されました。パトリアのCEOはその関与を否定しましたが、捜査が進行中の中、同年8月に辞任しています。同様の汚職疑惑は、1999年のエジプトへの榴弾砲の輸出や2007年、2008年にクロアチアへの装甲兵員輸送車輸出でも報告されています。

このように、パトリアは長い歴史と多様な製品を持つ企業ですが、その一方で不祥事の影も抱えています。

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