パニーノ

パニーノ：イタリアの伝統軽食

イタリアの代表的な軽食として親しまれるパニーノは、パンに様々な具材を挟んだ料理です。その語源はイタリア語の「pane（パン）」に、縮小辞「-ino」が付いたもので、直訳すると小さなパンという意味になります。正確には、具材を詰めたパンを意味する「panino imbottito」がより適切な表現と言えるでしょう。単数形は「panino」、複数形は「panini」となります。

イタリアでは、ハンバーガーやホットドッグなども含む、パンに具材を挟んだ軽食全般を指す広い意味で使われます。ただし、パンを薄く切って具材を挟んだものは「tramezzino（トラメッツィーノ）」と呼ばれ、パニーノとは区別されます。より狭義の意味では、チャバッタやロゼッタなど、伝統的なイタリアパンを使用したものを指し、ハンバーガーや一般的なサンドイッチは含まれません。

カフェや食材店では、ショーケースに並べられたり、注文を受けてから作ってくれるお店もあります。具材はトマトやモッツァレッラチーズなどの定番に加え、ハム、ローストビーフ、ポルケッタなどの肉類の薄切り、レタスなどの新鮮な野菜が組み合わされます。マヨネーズやケチャップ、マスタードは、伝統的なパニーノには通常使用されません。

ホットサンドメーカーで焼いたパニーノは、イタリアでは「toast（トースト）」と呼ばれます。この場合、パーネ・イン・カッセッタと呼ばれる食パンの一種を薄く切り、プロシュットやプロセスチーズなどを挟むことが多いようです。

イタリア国外のパニーノ

日本においては、イタリア風のパニーノをイメージしたサンドイッチが広く「パニーノ」または「パニーニ」と呼ばれています。由来は明確ではありませんが、薄く白いパンを使用し、注文後に焼き、パンに焼き色を付けたものが一般的です。セガフレード・ザネッティやドトールコーヒーショップなど、多くのカフェでメニューに掲載されています。メニュー表記は店によって「パニーノ」と「パニーニ」が混在しますが、複数形である「パニーニ」が、1人前に複数個のパニーノが含まれることを示すわけではありません。

アメリカ合衆国、カナダ、イギリスなどでは、薄切りパンに具材をはさんで焼き、パンに焼き目をつけたものを「パニーニ」と呼び、単数形でも「パニーニ」と表記される場合があります。パニーニを焼くための専用の調理器具である「パニーニプレス」も広く普及しています。イタリア風のパニーノとは区別して「パニーノ」と呼ぶ場合もあります。

パニーノは、シンプルながらも奥深いイタリアの食文化を象徴する軽食です。様々なバリエーションがあり、その土地土地の食材や好みに合わせたアレンジも楽しめます。手軽に食べられることから、観光客から地元の人々まで幅広い層に親しまれている、イタリアを代表する料理の一つと言えるでしょう。

関連項目

調理パン
サンドイッチの一覧

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